お菓子をおくれ!



――はい?

「Trick or Treat!」
「…………………」
そう言いながら、俺の部屋に入ってきたのは…吸血鬼に仮装した烏。――…そう言や、ハロウィンか。
「…菓子、持ってねーぞ。」
「んじゃ――トリック…っつー事でvv」

――カプッ。

「カラスっ!?」
俺の後ろに回り込んだ烏が、如何にも楽しそうに、耳や首を噛んできた。――本気で、待て待てェ!!
「ファック!何しやがる!!」
「何って――悪戯。」
烏から急いで離れて、首を押さえながら叫ぶと、烏はキョトンとした顔でそう言い…俺は思いっ切り項垂れた。
「おい、ファッキンガラス…誰の入れ知恵だ?」
「え〜っと…巻貝先生。」
(――――契の王か!!)
普段の烏からは、考えられない行動に尋ねると…ある意味、予想通りの答えが返ってきた。
だが…よく考えてみれば、この手の悪戯を烏に教える事が出来るのは、あの王だけだった。
「――――――」
「…怒ったのか?」
項垂れたままの俺に、『怒らせた』と思ったのか…烏が顔を覗き込んできた。
「怒ってねーよ。」
「ホントに怒ってないのか?」
「…ああ。」
不安げな烏の声色に苦笑し、そう言ってやると…烏は安心した様に笑顔になった。

暫くして…俺は徐に立ち上がり、外に出る為にA・Tを履いた。
「咢?」
「…菓子、買ってきてやる。」
不思議そうに声を掛けてきた烏に、それだけを言って俺は外に出た。

(――あんな悪戯は、ゴメンだ・・・。)
そう思いながら…烏に噛まれた首を押さえ、急いで菓子を買いに行った。

――何だかんだで、俺も結局…烏には甘い事で…と思いながら。

End…?













オマケ?

「そー言や、カラス…その仮装どうした?」
「ん?大撥条に行ったら…巻貝先生が『あげるvv』って、下着から――」
「…分かった、言うな。」
仮装衣装について聞くと…烏は俺が買ってきた菓子を食べながら、答えようとしたが…何となくオチが分かったので、続く言葉を遮った。
「…貰ってきたのか?」
「ああ…そうだけど?」
俺はそれを聞いて、烏を押し倒した。
「咢!?」
「今は、ヤんねーよ。」
そう言って俺は、烏の白い首に強く噛み付いた。
「いっ…!」
烏の口から苦痛の声が零れるのと同時に、血の味が口の中に広がった。
暫くすると、烏の首には、見事に歯形が付いた。
「何すんだよっ!」
「さっきの仕返しだ。」
顔を赤くして叫ぶ烏に、そう言ってやると…烏は、そのまま黙り込んだ。

「――夜が、楽しみだなぁ?」

黙り込んだ烏の耳元で囁いてやると…今度こそ、烏は顔を真っ赤に染め上げた。

ホントにEnd.