「蕎麦とうどん――どっちがいいですか?」
「「「「「「うどん。」」」」」」
揃った声に、思わず笑みが溢れた。
「分かりました、じゃあちょっと待ってて下さいね。」
そう言って台所に引っ込むアレンの背を"私も手伝いますわ"とテワクが追いかけていくのを見て、男性陣は茶を啜り始めた。
「――今年も色々とあったな」
茶を飲みながら"しみじみ"とマダラオが言うと、トクサ達が相槌を打つ。
「そうですねぇ…ありましたね、色々と。」
「でも、今年1番の出来事って言ったら…」
「ああ、間違いなく――。」
「「「「こいつに"彼女"が出来た事だよな(ですよね、だな)」」」」
「――ぶっ!」
そんな幼馴染達の言葉に、茶を飲んでいたリンクは軽く咳き込んだ。
「まだ言いますか…」
リンクが恨みがましい目線で幼馴染達を見やると、トクサが呆れた様な声色でキッパリとこう言い切った。
「ハワード…あなた今まで"菓子作り"以外に心奪われる事がなかったでしょうに…」
「「「――全くだ」」」
トクサの言葉に"うんうん"と頷く幼馴染達に、若干の怒りを覚えたリンクだったが…続く幼馴染達の言葉にそんな些細な怒りは吹っ飛んだ。
「そう言えば…1つ気になる事があるんですけど」
「奇遇だな、私もだ」
「あ、俺も」
「俺もだ。」
そんな幼馴染達の言動に嫌〜な予感はしたが…取り敢えず"何ですかね"とリンクが続きを促せば、とんでもない事を言い放ってくれた。
「「「「――ウォーカーとヤったのか(ヤったんですか)?」」」」
その言葉を聞いてリンクは今度こそ茶を吹き出した。
「「「「ぅわ!汚なっ!!」」」」
「ゲホッ、ゴホッ――い…いきなり、何言うんですか?!」
茶を吹き出したリンクに一斉にそう言えば、当のリンクは咳き込みながら声を荒げる――するとマダラオ達は顔を見合わせながらこう言った。
「いや、だって――なぁ。」
「ええ…」
「だよなぁ…」
「だなぁ…」
「「「「ウォーカーに対する態度と雰囲気が甘ったるい(甘ったるいんですよ)。」」」」
(そんなに分かり易い態度だったのか…!?)
ある意味あんまりな幼馴染達の言葉に、それこそ地面に減り込みそうな程凹んだリンクだった。
そして、台所の方でも――。
「ねぇ、アレン――もしかしてリン兄様と一線越えましたの?」
「――はいぃぃいいい??!!」
と…なかなかに直球なガールズトークが繰り広げられていた。
そんな事がありながらも、何とか皆で年越しうどんを食べると――"ゴーン"と除夜の鐘の音が響くと共にテレビからはカウントダウンの声が聞こえてきた。
"5、4、3、2、1――ゼロ!!"
「「「「「「「――明けましておめでとうございます!」」」」」」」
年が明けた瞬間――皆がそう言えば、意図せず声が揃ってしまい…思わず笑ってしまった。
――今年も良い年になります様に!!
End.
Title:『Fortune Fate』/執筆中BGM:『御伽の国の鬼が島』、『ウサテイ(ピッチアップ)』