「ああ…今年もまた来たか…。」
カレンダーを見ながら、家康はそう呟いた。
プレゼントをお届けに参りました
本日12月26日は――徳川家康の誕生日である。誕生日を迎える事に関して、
家康は不満を感じない――のだが、唯一例外が存在した。
「そろそろかな…」
と呟いたその瞬間――家のチャイムがなった。
『徳川さーん、宅配便です』
「はーい…。」
宅配を告げる声が聞こえてきたので、家康は急いで玄関に出…受取票にサインをして
荷物を受け取った。
「はぁ――やっぱり…。」
荷物の差出人の名前を見た家康は肩を落とした――差出人の名は『豊臣秀吉』、
家康の元後見人で現身元保証人である人物だ。
「秀吉公、それに半兵衛…ワシもう子供ではないんだが…。」
家康は疲れ切った声で呟く――そう、『元養い親達からの贈り物』これが家康が
唯一、苦手としている物であった。
因みに…家康が幼い頃は――何の疑問も無く受け取っていたのだが…1人暮らしや
留学した(20歳になった)頃から、何やら内容が豪華と言うか…お金が掛かった物へと
変化したのだ。
恐らく――遠くに居る分だけの愛情を(特に半兵衛が)込めていてくれたのであろうが…元々質素を好む家康にとって、それは箪笥の肥やしにしかならない物ばかり
だった。
「今年は何を贈って来たのやら…。」
叶うのならば今すぐにでも贈り返したいと言外に仄めかしながら、家康は箱の包装を丁寧に解いていった。
「こ、れは――。」
箱を開け、その中身を見た家康は言葉を失った、何故なら――。
「振袖…?」
そう――今年の元養い親達のプレゼントは、振袖一式だった――しかも、家康の
好きな古典柄の振袖である。
「何故、振袖?」
と思いながらも、家康の顔には笑みが浮かんでいる――実は家康、現代っ子としては
珍しく…自分で着付けが出来るのだ。
元々、和服は好きだったので自分で出来る様に覚えたのである。
「これを着て、正月に戻って来いって…事だろうなあ。」
振袖を見ながら、家康は呟く――成人式の時は留学中で、2人に振袖姿を見せる
事は叶わなかったし、家康もその事を気にしていた。
「…秀吉公、半兵衛――今年の贈り物は、箪笥の肥やしにはならないぞ。」
正月三が日の予定を組み立てながら、家康は微笑みを浮かべてそう
呟いたのだった。
Merry Christmas & Happy Birthday I.Tokugawa!!
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