(ん…ゎああああああ!!!!)
目の前にある顔に驚いた。
V:Voice
(な、なんだ、三成か…てか何でワシ裸?!!――あ、そっか…。)
アワアワと慌てていた家康だったが…昨夜に何があったか思い出すと、カァっと頬を
赤く染める。
(あぅぅ…)
余りの羞恥に家康は内心で呻き声を上げる――だって…あんな事になるなんて、
夢にも思わなかったのだ。
(でも…ワシ、本当に…――。)
未だに隣で眠ったままの三成を見つめながら、家康は昨夜の事を思い出す…が――。
(『ひ、ぁ――わ、わし…あぁああ!!!』)
(――っ!!と、取り敢えず…服…!!)
同時に昨夜の自分のあられもない姿も思い出し、顔を更に赤くした家康は床に
落ちている自分の服を着ようとベッドから降りようとしたが…――。
「っぃ〜〜〜〜〜!!!」
腰に走った痛みに、思わず呻き声を上げながら家康はベッドに突っ伏した――ん、
呻き声…?
(あれ…?今、ワシ…――。)
それに気付いた家康は自分の首に手を当て、深く息を吸う――そして…。
「ぁー…。」
微かに零れ落ちたその音に、家康は破顔した――そう、家康は声を取り戻したのだ。
「みつなり、みつなり――」
この喜びを早く報せたくて、家康は三成を揺さぶり起こし始めた。
『なり、みつなり…』
(…うるさい)
微かに聞こえてくる自分を呼ぶ声に、三成は顔を顰めた――今日は折角の休み、
思う存分寝かせて欲しい…と三成は思い、声を無視し更に睡眠を貪ろうと上掛けを
引き寄せる…すると――。
「みつなり、おきろーー!!」
「?!?!」
耳元で聞こえた大音量の声に、三成はガバリと起き上がり周囲を見回す――と、
目の前でニコニコ笑っている家康が其処に居た…しかも裸で。
「な…?!!」
そんな家康の姿に目を見開き、言葉を失った三成だったが…昨夜の1件を思い出し、
ああ…と頭を抱える――が、そんな三成に構う事無く、家康はこう言った。
「――おはよう、みつなり」
「家康…貴様、声…――?」
「ああ、でるようになったぞ!!」
先程とは別の意味で驚く三成に、家康は笑顔でそう言う――そんな家康を三成はシーツで包んでぎゅうと抱き締める。
「ぅわ、みつなり?」
「…もっとだ、もっと私を呼べ…。」
腕の中できょとりとする家康に、三成がそう言うと――家康は三成を呼び続ける。
「みつなり、みつなり、みつなり…――。」
(あぁ…『幸せ』とはこう言う事なのだな…。)
柔らかで何処か幼い家康の声に、三成は心の奥底からそう思ったのだった。
「なぁ、みつなり…」
「何だ?」
急に呼びかけられて三成が家康の顔を見ると、家康はとびっきりの笑顔でこう言った。
「――だいすき!!」
End.
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Title:『
TOY』
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