「どうした、家康――――――!!!」
その悲鳴を聞いて駆けつけて来たのは、お隣の部屋に住んでいる石田三成である。
悲鳴が聞こえてきた部屋の、風呂場の扉を開けた途端――。
「わぁあ―――――!!」
――バコン!!
「――ぐほっ!!」
この部屋の主―徳川家康―が条件反射で投げた洗面器が見事に顔面にヒットして
しまい…三成は顔面を押さえてその場にしゃがみ込んだ。
「み、三成?!――す、すまない!!」
洗面器がヒットした相手に気付いて、家康は大慌てでバスタオルで自分の身体を
包んで、三成に駆け寄った。
「――き、きにふるな…。」
かなり痛かったのか…若干呂律の回らない口調で、三成は慌てる家康にそう返した。
「何かあったのか?」
程々に回復した所で、三成は家康に悲鳴の理由を尋ねた。
「――そうだった!!三成、大変なんだ!!」
尋ねられて悲鳴を上げた出来事を思い出した家康は、三成の服を掴み…ガクガクと
揺さぶらんとばかりの様相でこう言った。
「――さっき、覗きが出たんだ!!!!」
「何だとぉお――――――――――――!!!?」
それを聞いた三成は、先程の家康の悲鳴にに負けない程の大声を上げた。
「何処に行ったか分かるか!?」
先程とは逆に今度は三成が、家康の肩をガシッと掴み…揺さぶらんとばかりの
様相で尋ねた。
「え、えっと――確か窓から見て、右方向だったから…非常階段の方だと思う。」
それを聞いて三成は、ベランダから外を見ると…如何にも怪しい人物が、そそくさと
アパートから立ち去っていた。
「――――逃がすかぁ!!!」
「え?!ちょ――三成!」
家康が静止する間も無く、三成は部屋を飛び出していってしまった――暫し、呆然と
していた家康だったが…我に返って、急いで服に着替え…警察に電話する事にした。
――一方…家康の通報を受けた警察がアパートに到着した、その頃。
「待たんか、貴様ぁあああああ―――――――!!!!」
「ひぃいいいい―――――――!!!!!」
と…鬼の様な形相をした三成と犯人との大捕り物が展開されていた。
因みに――警察が来て暫くした頃…無事犯人をとっ捕まえた三成が、
アパートに戻ってきて…犯人は無事に警察に引き渡されたのだった。
そして、後日――三成の手によって、家康の部屋の風呂場の窓に格子が
付けられたとの事。
End.