手元にある小さな紙とPCの画面を見て、吃驚した。
エプロンとテーブルと二人分の指定席
(あ、当たってる…)
PCの画面と手元にある小さな紙を見比べながら、家康はパチパチと目を瞬かせる。
実は意外な事に――家康の趣味の1つには、『ギャンブル(競馬限定)』があり…
しかも結構当たっており、今までに当たった金額はかなりの額になっている
(因みにその殆どは貯金している)。
尚――余談ではあるが、養親(元後見人)の趣味にも『ギャンブル』がある。
(う〜ん…当たったのはいいが、使い道が…)
暫くPCの画面を眺めていた家康だったが…ふと思い当たった使い道に頭を抱えた――基本的に家康は質素を好んでいる為、大きな買い物する事が無いので…普段はそっくりそのまま貯金に回している。
今は欲しい物は特に無い…かと言って、使わないのも勿体無いと思うのだが…
如何せん使い道が思い付かないのである。
『今回も貯金かなぁ』と思ったその時――。
(あ、そうだ――。)
脳裏を過ぎった『それ』に、家康は『機を得た』とばかりに急いで携帯でメールを
送って、外に出た――メールの送り先は勿論恋人である三成だ。
♪〜♪♪〜。
「メール…?」
普段は然程鳴らない携帯が鳴り出したので見てみれば、差出人はかわいい
恋人からで三成は急いでメールを開いて見ると――。
『――晩御飯で何か食べたい物ある?』
余りにもシンプルなその1文に首を傾げた三成だったが…取りあえず
『鳥が食べたい』と家康に返信すると、数分後に『了解』と返って来たので…
数時間先の晩御飯に思いを馳せる三成だった。
その晩、家康の部屋にお邪魔すると――リクエストしたメニューの他に、幾つかの
手が掛かっている料理があって、『どうしたんだ?』と三成は尋ねたが…家康は笑顔で
『臨時収入があった』と答えた為…三成はそれ以上問い質す事も無く、家康と一緒に
晩御飯を食べたのだった。勿論――家康御手製の晩御飯は美味しかった。
後日――家康の臨時収入源&預金通帳を見た三成は、通帳に記された金額に
凍り付く事になるのだが…それはまた別のお話である。
End.
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