「――Trick or Treat!!」
そんな声と共に現れた隣人の姿に、三成は目を見開いた。
オレンジ色した悪戯な灯り
「――何の用だ、家康。」
「…三成、その反応はちょっと傷つくぞ…。」
我に返った三成の反応に、家康はガッカリと肩を落とす――が、めげずに三成に
こう言った。
「今日は『ハロウィーン』だぞ!!」
家康にそう言われて、三成は今日が何日か思い出した。
――そう。今日は10月31日…浮かれた幽霊も踊りだす、万聖節の前夜祭――
ハロウィーンである。
「ああ…それでそんな格好か」
「――そうだぞ!!」
漸く思い出した三成は家康の姿に納得し、そんな三成に家康は楽しそうな笑顔を
浮かべる。
「しかし…その格好は…」
「?」
改めて家康の姿を上から下まで眺めた三成は、顔を赤らめ――そんな三成に、
家康は首を傾げた。
只今の家康の姿はと言うと――簡単に言ってしまえば、魔女のコスプレを
しているのだが…スカートの丈はミニな上、胸元に至っては…豊かな胸の
谷間を惜し気もなく晒している――ぶっちゃけて言えば、『誘ってる?』と
言わんばかりの姿である。
「――似合わないか…?」
「いや――それはない。」
少しだけ顔を歪めて言う家康に、三成が即座にそう言えば――家康は嬉しそうに
笑った。
あんまり家康の悲しい顔は見たくない三成である――ヘタレと言うなかれ。
「――そう言えば、何の用で来たんだ?貴様は。」
「ああ、そうだった!」
三成が改めて用件を尋ねると、家康は持ってきていた大きな袋の中をガサゴソと
漁って…そこから取り出した一回り小さい袋を三成に手渡した。
「?」
手渡された袋に三成は首を傾げたが…『中身を見れば分かる』と家康に言われ、
袋の中を見た三成は目を見開いて固まった。
「…私も――か?」
「おう!」
思わず顔を引き攣らせ尋ねる三成に、家康はニコニコと笑いながらそう言い…
それを見た三成は…敗北感に肩を落としてこう言った。
「――着替えて来るから、少し待ってろ…。」
「分かった!!」
――こうなった家康には敵わない事を身をもって知っているので、
三成は抵抗する事を諦めた。
数十分後――吸血鬼の仮装をした三成が自室から出て来て、家康と一緒に近くの
商店街で開催されていた、仮装パレードに参加する事になったのは…
言うまでもない。
End.
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