「「……………」」
沈黙がこれ程までに痛い――という事を始めて肌で感じた。
言うだけ野暮
例の告白から数日後――三成は、上司である秀吉と半兵衛の元へと訪れていた。
無論…家康との結婚の許可を貰う為である――が…経緯を報告した途端、秀吉と
半兵衛が揃って無言になってしまい…三成は顔を俯かせ、ダラダラと冷や汗を流し、
針の筵に座っている様な気持ちを味わっていた。
「――三成君。」
「は、はい!?」
漸く口を開いた半兵衛が三成に声を掛けると、三成は耳と肩、そして――尻尾を
ビクつかせながら顔を上げる…そんな三成に苦笑しながらも、半兵衛はこう言った。
「まぁ――君が家康君と結婚する事に関しては、僕は文句は無いよ。ねぇ、
秀吉。」
「うむ、我にも特に異存は無い。」
話を振られた秀吉も頷きながらそう言えば、三成の表情が先程の暗い表情から一変
してキラキラと輝いた。
「――あ、ありがとうございます…秀吉様、半兵衛様…!!」
そう言って頭を下げる三成を、秀吉と半兵衛は何処かにこやかな気持ちで見つめた。
「でもね、三成君――僕としては、これだけは言って置きたいんだけど…」
「同じく――我も言う事がある。」
「――何でしょうか…?」
急に真剣な顔をしてそう言った秀吉と半兵衛に、三成は首を傾げながらも2人の
言葉を真剣な表情で静かに待つ。
そして2人は――半兵衛は溜息を吐きながら、秀吉は微妙に皺の寄った眉間に指を
当てながらこう言った。
「「『出来ちゃった婚』はダメだよ…(だろう…)」」
「――反応する所は、其処ですか!?」
ある意味――見当違いとも言える2人の言葉に、三成は思わずツッコんで
しまっていた。
その後――親代わりともいえる2人に、細々としたお説教を喰らいながらも…どうにか
無事に結婚の許可を貰う事が出来た。
そして――数ヵ月後…盛大な祝言(結婚式)が、大坂城と三河で挙げられたのだった。
え?何で2回も祝言を挙げたのか?って――だって、家康が御嫁に行ったんじゃなくて、
三成が御婿さんとして三河に来たから――。
End.
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