『予期せぬ爆弾』シリーズ番外編?
此方のお題は『age』からお借りしました。
淫夢の代償/dolce/亜麻色のリボン/遠雷/ランチタイム/siesta/真夜中の訪問者/
無条件で全幅の信頼/あなたが好きよ、大好きなの/道草/腕(かいな)/雪の夜/
淫夢の代償(※本編2話と3話の間)
「――――!!」
声にならない叫び声を目覚めてみれば、未だ真っ暗闇だった。
「――…夢か…。」
溜息を吐き、片手で顔を覆って呟く。
――私はもう一度眠ろうとしたが…どうにも、夢の光景がちらつく。
――夢の中で、自分の手の中で乱れる彼の姿が…。
結局――私が寝不足になってしまったのは、言うまでもなく…――
――…序でに言えば、彼の顔をまともに見る事が出来なかった。
(夢の中でも無意識に)
dolce (子供化。J+ちび凱)
子供は甘い物が好きだ。
そして今――私は、それを身を以て、実感している。
「あまい♪」
「…………。」
――見ているだけでも、気分が悪くなってきた…。
日が経つに連れて、精神的に子供化が進んだのか…頻繁に菓子を食べる時間が多い。
「――たべないの?」
「…いらん。」
目を瞬かせながら彼が尋ねるが…正直言って、私は食べたくなかった。
「――――――。」
「あ――――…。」
突然泣きそうになった彼を見て、私は焦った――しまった!断ったのが、不味かったか!!
私は咄嗟に、彼の側にあった、硝子の小瓶に入っていた飴を取った。
「…貰うぞ。」
「――うん。」
そう言った瞬間…彼は嬉しそうな顔になったのを見て、私は安堵の溜息を吐いた。
そんなこんなで…袋を破って飴を口の中に放り込んだ。
『――甘い…。』
口の中に広がった甘さに顔を顰めたが…彼に泣かれる事を思えば、未だマシだった。
(子供の御機嫌と保護者の苦悩?)
亜麻色のリボン (子供化。J+ちび凱)
「む〜…。」
「何をしている?」
先程から呻く彼に声を掛けると、布の切れ端―聞いた所、『リボン』と言う―みたいなのを差し出された。
「おい…?」
「――結んで?」
首を傾げると…彼が自分の長い髪を指差しながらそう言った――それを見て私は納得した。
ああ…成る程――自力で結ぶ事が出来なかったのか。
「――来い。」
「♪」
短く簡潔に言えば、嬉しそうに近付いてくる。
「普通で良いか?」
「――。」
丁寧に髪を梳かしながら問い掛ければ、彼はゆっくりと首を縦に動かした。
それを見て――私は手早く彼の髪を一纏めにして、差し出されたリボンで括った。
「終わったぞ。」
「ありがと。」
そう言ってやれば、彼は嬉しそうに礼を言って外に出て行った。
――その長い髪に、淡い亜麻色のリボンを付けて。
(手早く、丁寧に)
遠雷 (子供化。 J+ちび凱)
―――ピシャーン!!
「―――っ!!」
遠くから鳴り響く雷に、彼が身を竦ませる。
「――…怖いのか?」
「………っ。」
私が問い掛ければ、彼は必死に首を縦に振って私にしがみ付く。
――子供心には、やはり雷は怖いのか…。
「…もうすぐ、鳴り止む。」
「…ホント?」
『後、数十分もすれば鳴り止む』と…しがみ付く彼にそう言ってやると、上目遣いで尋ねてくる。
「…怖いよ…。」
「――――。」
ポツリとそれが聞こえて、私は彼をあやす様に抱き締めた。
そうしてやると…彼は恐怖を振り払うかの様に、私の胸元に頭を擦り付けてきた。
結局――雷が鳴り止むまで、私はずっと彼を抱き締めていた。
(恐怖心と少しの優しさ)
ランチタイム (子供化。ルネとJ。)
「すっかり、馴染んだね。」
「――――――――。」
彼女の言葉に、私は一瞬だけ閉口する――当の彼は、部屋で待機中だ。
「そー言えば、他にも居たんだろ?面倒見てくれるの。」
「…居るには、居たんだが…。」
彼女の言葉に、私は些か頭を抱えながら一応は答える。
「――他の面々は怖がったんだ。」
「……そりゃ、また……。」
――そう。GGGの他の面々を、彼は怖がってしまったのだ――あの熱血トップ達は、仕方が無いとして。
「信頼されてるね。」
「そうだな。」
彼女の言葉に、私は少しばかり苦笑しながらそう答える。
「待ってるんじゃないのかい?」
彼女の言葉に時計を見れば…戻ると言った時間を過ぎていた。
「凱に宜しくね。」
「ああ。」
そんな事を言われながら、私は彼の待つ自室へと戻る――部屋に戻れば、彼が首を長くして待っている。
「――本当に過保護だね。」
部屋に戻った後…彼女がそんな事を呟いていた事は、私が知る由もない。
(信頼と面倒見の良い――?)
siesta (子供化。J+ちび凱)
「ぅ……。」
「眠いのか?」
『こっくりこっくり』と船を漕ぐ彼に声を掛ければ、眠たそうに目を擦る。
「ぅ〜…。」
「…無理はするな。」
無理に起きようとする彼にそう言って、私は彼を抱き上げた。
「じぇい…?」
「眠い時には、寝ておけ。」
ボーっと見上げてくる彼にそう言えば、私の胸元に頭を預け眠ってしまった。
「やれやれ…。」
眠ってしまった彼を見ながら、私はそう呟く――無理をしても、仕様が無いというのに。
彼をベッドに運んだ後、私も暫く眠る事にし…目を閉じた。
――昼寝には遅い時間だったが、それでも休息には充分だった。
(昼寝と保護者の休息)
真夜中の訪問者 (本編3話と4話の間。 J ×凱)
――コン、コン。
軽いノック音が聞こえてドアを開けてみれば…彼が居た。
「何をしに来た?」
「――眠れなくて…。」
私が尋ねたら、彼は苦笑しながらそう答えた――…成る程な。
「入れ。」
「お邪魔します。」
――流石に、このまま入り口に立たせておくのも良くないので、部屋に入れる事にした。
「飲め。」
「…サンキュ。」
コーヒーを差し出せば、彼は礼を言い啜る様に飲む。
「どうかしたのか?」
「…何となく。」
訪ねてきた理由を聞けば、彼はそう言ってはぐらかす――もしやと思って、尋ねてみた。
「不安な事でもあるのか?」
「う゛…。」
私がそう言った瞬間、彼は言葉を詰まらせた――…当たりか。
だが――彼が何を思っているかは、私は聞かない事にした――恐らく、明日の事だろうから。
「今日は…気が済むまで居ろ。」
「――そうする。」
隣に座って抱える様に引き寄せて言えば、彼は安心した表情を浮かべた。
その日は――彼が満足するまで、そのままで居た。
翌日――結局、元の彼には戻らずに振り回される事になるのは…別の話。
(不安と僅かなリラックス)
無条件で全幅の信頼 (子供化。J+ちび凱)
「まって。」
トテトテと付いてくる彼にそう言われて、歩幅を落とす。
「部屋で待っていた方が、良いんじゃないのか?」
「――やだ。」
私が気遣いで言えば、彼は首を振る。
「何故、私に付いてくる?」
「――さみしいから。」
疑問に思った事を私が尋ねたら、彼はそう答えた。
「…一人じゃ、さみしいから。」
「―――そうか。」
それを聞いて、私は再び歩き出せば――彼は、慌てて私の後を追ってくる。
「まって、ジェイ。」
「…ああ。」
私はまた歩幅を落として、彼が追い付いてくるのを待つのを繰り返す。
――必死に追いかけてくる姿は、まるで子犬が付いてくる様だ…と私は内心で思った。
その後――追い付いた彼の手を握ってやれば、彼は幸せそうに笑った。
(子犬の様な彼)
あなたが好きよ、大好きなの (子供化。J+ちび凱?)
「だいすき。」
「―――。」
彼の言葉に、言葉を失う――一体、どうした?
「…きらいなの?」
「そう言う訳じゃない。」
私から返答が無いのを、『嫌い』と取ったのか…尋ねてくる彼に、そう返す。
「私の何処が好きなのだ?」
ちょっとした意地悪で尋ねれば、彼は少し考え込んだ後こう答えた。
「ぜんぶ――ぜんぶ、だいすき。」
彼の答えに、私は見事に驚いた――まさか…そう言われるとは思わなかった。
「ぅわ、ジェイ?」
驚く彼に構わず、赤くなった顔を見られたくなくて――私は、彼を強く抱き締めた。
「全部か?」
「うん、ぜんぶ。」
尋ねれば、鸚鵡返しの様に返ってくる答えに…私は、知らず知らずの内に笑みを浮かべていた。
――『私もお前の『全て』が好きだ。』と内心で呟きながら。
(君の全部が大好き)
道草 (子供化。 トモロとちび凱)
「――こんにちは。」
「オヤ、イラッシャイ。」
――珍しい客人が来た。
「珍シイナ、此処ニ来ルノハ。」
「いそがしそうだったから。」
――誰がとは、敢えて聞かないでおく。
「心配スルンジャナイノカ?」
何だかんだ言って…あの親友は、この子供が大事なのだから。
「だいじょうぶだよ――ちゃんと、書き置きのこしてきたから。」
――その言葉に『それなら…然程、心配する必要はないな』と、率直に思った。
その頃…当のソルダートJ本人はと言えば――。
「…トモロの所なら、後で行けば良いか。」
――子供の残したメモを見て、そんな事を言っていた…何だかんだ言って、過保護である。
「楽シイカ?」
「たのしいよ?」
結局――Jが迎えに来るまで、私と子供は、即興で組み上げたプログラムで遊んでいた。
(珍客と暇潰し)
腕(かいな) (子供化。J+ちび凱)
――腕に微かな重みを感じて、目を開けてみれば…。
「…またか。」
何時の間にか腕の中に居る、彼に苦笑する。
「ん〜…。」
小声で呻きながら、彼が擦り寄ってくる――寒いのか?
「…ゃ…。」
「――ん?」
起こすのも可哀想なので、もう一度眠ろうとしたら、彼の口から微かな声が聞こえた。
「いっ…ちゃ、や…。」
「―――――――。」
それを聞いて…何故、彼が此処に来たのかを、私は悟った。
「淋しいのなら、素直に言え。」
私はそう言って…甘える様に擦り寄ってきた、彼の小さい身体を抱き寄せた。
――翌朝…起きた彼が顔を赤くしていたのを見て、私は声を潜めて笑った。
(無意識な甘えん坊)
雪の夜 (子供化。J+ちび凱)
「あ…。」
「どうした?」
窓の外を見ていた彼に釣られて、外を見てみると――。
「――雪か。」
はらはらと花散る様に、白い雪が降っていたのを見て、そう呟いた。
「うん。」
外を見ている彼は、楽しそうである――この様子、まさか。
「――『外に行きたい』なんて、言うんじゃないぞ。」
「あう。」
私が釘を刺せば、彼は『ダメ?』と言わんばかりの顔になった――お前な…。
「風邪を引きたいのか?」
「――それは、やだ。」
そう言ってやれば、彼は拗ねた様子でそう言う――此処は、仕方が無いか…。
「…明日、出掛けるか?」
「え?」
私の言葉に、彼は目をパチクリさせながら見上げてくる。
「雪を見るのは無理かもしれんが…――。」
「――いく!いっしょに、いこ?」
私が最後まで言い切る前に、彼は嬉しそうに了承してくれた。
翌日――再び雪が舞い、彼は殊の外喜び…目を輝かせていた。
(子供と雪と保護者のお誘い)