家康に見せたいものがあると呼ばれた。
一体何を見せたいのだろう、恋しく思う者にそんな誘いをされてはいやでも期待してしまう。
深呼吸し、襖をゆっくり開ける。

「おおっ、遅かったじゃないか三成」
「い、いえやす…それは…」

其処には何時もの金色の装束ではなく、胸元を惜し気もなく晒した白い装束に身を包んだ家康が居た。

つつしみなさい! (男は狼なのだから)


「似合うか?新調したんだ」
「貴様はそれを着て戦場に立つ気かッ…!?」
「…そうだぞ?」

馬鹿か、貴様は。
そんな装束で戦場に立つなど自殺行為に等しい。

「あー、北に行くときは寒いかもしれんなぁ」
「っ…!」

ペラペラと裾を掴む。
み、見える…乳首が。これは非常に駄目だ、こんな装束で隣に並ばれたら集中出来ない。
兵士にもこいつを好いている奴が何人も居るだろう…。

まともな戦運びは出来ん。

「何時もの装束で良いだろう…」
「でも折角作ったんだし着たいな〜」

よくよく見ればこの装束、胸元は紐で簡単に留められているだけだ。少し引っ張るだけで
手軽に脱がすことが出来る。

もしや誘っているのか、無自覚に。
私の気も知らないで!

「家康!!」
「わっ三成…?」

襟元を掴み床に組み敷く。
ブチリと音を立てて紐が千切れた、厚い胸板が更に露出する。

「ちょっ…な、なに」
「五月蝿い」
「ひぁっ、…やめろって!」

煩わしい口だ。
こんな装束で私を誘惑した貴様が悪いのだ。理性は崩壊した、衝動が抑えられない。

「んあっ!」

カリッと桃色の突起を咬めば家康が甘く啼いた。

「随分艶っぽい声だな…」
「も、もういいだろう?やめてくれ…」
「……チッ」

舌打ちをひとつ溢して素直に口を離す。
名残惜しいが致し方無い。

「…この装束は、私の前でだけ着ろ」
「ええっ!?」
「反論は許さない!」

私以外に見せるものか。
この破廉恥な装束など。

「はぁ…じゃあ今から着替えるよ」
「…そうか」

少し残念だ。
だが私はこれから何時でも見ることが出来る。それにしても、家康は私がここまで
しているのに、何故好いていることに気が付かないんだ。
鈍感にも程がある。
お陰で毎日私の気苦労は絶えない。

年頃なのだから、私のような男には気を付けろよ?

金色の装束に身を包んだ家康を眺めて、ほくそ笑みを浮かべた。

38様の『カナリア の夢』で44000Hitを踏んで頂いたSSです。
当時ハマったばっかりだったので、(初めて来てキリ番を踏んでしまったのに)普通にリクしちゃいました…。
私もあの第弐衣装は、色んな意味でけしからんと思います。
38様――ありがとうございました!