第10話
逃亡劇から、数ヶ月――賑やかな声が、城中に響き渡った。
「俺が逃げるのは、当たり前でしょーが!!」
「だからって、家出同然に出て行かなくても〜!!」
「いい加減に、弟離れしてください!兄上!!」
聞こえてくる飛駆鳥と號斗丸の兄弟喧嘩に、新生大将軍達は苦笑を浮かべた。
――結局、逃亡に疲れた面々は、事情を話すという名目で、烈帝城に戻ってきた。
(手厚い歓迎をされてしまったのは、言うまでもないが…。)
「ですが…可笑しな、数ヶ月でしたなぁ。」
轟天が、そう言って苦笑しながら、茶を啜る。
「それは、全くだ。」
同じく茶を啜りながら、新生大将軍は答える。
逃亡劇の真相を知った時は、何とも言えない心地だったが…今は、どうでも良いと思っている。
響き渡る声に、お互いに顔を見合わせ…複雑な気持ちで、溜息を吐いた。
「やっと、ゆっくり出来るよな〜…。」
「そうネ、漸くだヨ。」
「解決したのだから、良いのではないのですか?」
「確かに、地獄だったからな…。」
数ヶ月前の事を思い出しながら、羽を伸ばす、新風林火山四天王。
最初は、いきなりの事でブーイングは出たが…今では、良い思い出みたいになっている。
「「「「ま、何にせよ…今が一番だよな。(ネ)(ですよ。)(だな。)」」」」
親友の事を思うと、少々不憫にも思えるが…4人は、久々の休暇を楽しむ事にした。
一方…逃亡劇に付き合った、超将軍の面々はと言うと…。
「やっと、平穏な生活が戻って…。」
そう涙ながらに呟くのは、荒鬼。
「――何やったんやろなぁ、今回のは。」
「…神様の、悪戯でしょうか?」
師弟で今回の事を考える、爆流と鋼丸。
「疲れましたよ、今回の事は…。」
『心底疲れた』と…言わんばかりの表情で苦笑するのは、雷鳴。
「一体、何だったんだろうな〜…?」
今回の事を、珍しく考えながら修行する、天地。
「…疲れた。」
空を見ながら呟くのは、一番の苦労性であった鉄斗羅。
「不思議な事もあるたい。」
動物と話しながら、呟くように言うのは、獣王。
「…何だったんだろうな、今回の事…。」
考え込みながら、不思議そうに呟くのは、千力。
――各々、無事に自分の生活へと戻っていた。
騒動の張本人である、號斗丸はと言うと―――。
「はぁ…戻って良かった…!」
戻ってきた己の体に、ホッと心の底から安堵していた。
「「「「「「「「「…何にせよ、もう二度とありません様に…。」」」」」」」」」
関わった全員が、心の底から、そう思ったのは言うまでもない。
――結局は、神様の悪戯って事で!!
End!
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