第4話



翌朝…號斗丸は、朝からの騒音で目が覚めた。
「おはよ〜〜・・・・・・。何してんだ、2人共?」
朝から『ドタバタ』何時になく動いている爆流と鋼丸に、號斗丸は聞く。
「ああ。舞威丸、起きたんか?」
と、爆流は未だに寝ぼけ顔の號斗丸に言う。
「そりゃ、目ぇ覚めますよ、朝からあれだけの騒音出されたら・・・・・・。」
苦笑しながら、號斗丸は爆流たちに答えた。
「おはよう。號斗丸。」
「ああ、おはよ・・・・・・。鋼丸。」
と、簡単に朝の挨拶を交わす鋼丸と號斗丸。
そして號斗丸は、この朝からの騒音の原因を2人に聞いた。
「なあ、2人共。一体、何してるんだ?荷物を纏めてる見たいなんですけど・・・・・・。」
と、號斗丸は聞いた。そしたら・・・・・・。
「ああ。詳しい事は、鋼丸から、言うてくれるから。」
と、爆流は答えた。
「それじゃ。おれは、説明してきますので、荷物の整頓はお願いします。」
鋼丸は、號斗丸の手を取って、別室に連れて行った。
「なぁ〜〜?何がどうなってんだ〜〜;;」
別室に連れて行かれる間、號斗丸は情けない声を発していた・・・・・・。
「さぁ〜て。サッサと荷物の整頓すまそか!!」
そんな號斗丸の姿を見ながら、爆流は荷物の整頓を再開した。
 
そして、別室では・・・・・・。
「なぁ、鋼丸。何が一体どうなって、荷物の整頓なんかしてるんだ?」
と、頭上に『?』マークを飛ばしながら號斗丸は、鋼丸に問いかけてくる。
そんな號斗丸の姿が可愛く思えてしまって、鋼丸は思わず顔を赤く染めた。
「どうしたんだ、鋼丸?」
いきなり顔を赤く染めたまま動かなくなった鋼丸の顔を、號斗丸は心配になって覗き込んだ。
その行動で我に返った鋼丸は、慌てて顔を上げた。
「あ、ああ。大丈夫だ。」
と、明らかに鋼丸は上擦った声を出した。
それでも、號斗丸は安心したのか安心した表情を見せた。
落ち着いた所で鋼丸は、今回の荷物の整頓について説明を始めた・・・・・・。
「なぁ、號斗丸。このまま、おれたちの家にいる訳にもいかないだろう。」
「まぁ、それは・・・・・・。」
「それでな。爆流師匠が『於雄得山(オオエヤマ)に行こう!』と、昨夜、言ったんだ。」
「え?!何で、『於雄得山』に?!」
號斗丸は、本日一番の大声を発した。
「いや、爆流師匠がな『恐らく。舞威丸は、超将軍を頼ってここに来た。』と言ってな。
それなら、おれたちも一緒に逃げた方が良いと思ってな・・・・・・。」
「で、でも。迷惑じゃないか・・・・・・?一緒に逃げたら・・・・・・。」
「い〜や。昨夜は、散々、迷惑を掛けられたんだ。今更、『迷惑を掛けるわけには・・・。』
とは、言わせんぞ。」
「は、鋼丸〜〜;;」
この鋼丸の一言に安心したのか、號斗丸の目からは涙が零れだした。
「わ〜〜!!た、頼むから、泣くな!!號斗丸〜〜!!」
泣き出してしまった號斗丸を、必死で慰める鋼丸。
「あ。ご、ゴメン。嬉しかったもんだから、つい・・・・・・。」
と、慌てて涙を拭う號斗丸。
「それじゃあ、あの荷物整理は、もしかして・・・・・・。」
何故、荷物整理をしていたのか、やっと解った號斗丸は鋼丸に聞いた。
「そう言う事。爆流師匠とおれも同伴する事にしたんだ。
『こうなったら、トコトンおまえの逃走劇に、付き合ってやろう』と、もう決めた事なんでな。」
鋼丸は、笑って、號斗丸に言う。
「ありがとう〜〜!!鋼丸!!」
と、言って號斗丸は嬉しさの余り、鋼丸に抱きついた。
当然、鋼丸は女性には免疫が無い訳だから・・・・・・。
「うわ〜〜;;しっかりしろ〜〜!!鋼丸〜〜」
號斗丸が、必死に呼びかけるが、反応無し・・・・・・。
もう、お解りであろう・・・・・・。鋼丸は気絶してしまったのだ・・・・・・。
そして、荷物の整頓が終わった、爆流は、號斗丸と鋼丸のいる部屋に向かったが、
そこには、真っ赤になって気絶している鋼丸に、必死に呼びかける號斗丸の姿があった・・・・・・。
そして、約30分後・・・。鋼丸は何とか気が付いた・・・・・・。
 
「はぁ〜〜;;舞威丸・・・・・・。頼むから、無闇に男に抱きつくんやないで。」
と、鋼丸の気絶した原因が解った爆流は、呆れながら號斗丸に言った。
「は〜〜い。解りました。」
と、號斗丸は暢気に答えたので、爆流は・・・・・・。
『ホンマに、解ってんのか?!』と言いたくなる位に、爆流は激しい脱力感に襲われた。
「そんじゃ。荷物の整頓も終わった事やし、サッサと行くか。」
「そうですね。早く出発しないと、嗅ぎ付かれちゃいますし・・・・・・。」
「そうだね・・・・・・。父上たちも、もう来るだろうし・・・・・・。」
と、三者三様に話す。
「それじゃ!!いざ『於雄得山』に!」
『おお〜〜!!』
こうして、號斗丸たち3人の逃走劇が始まった・・・・・・。
 
そして、数時間後。飛駆鳥(ビクトリー)率いる『號斗丸捜索隊』が、爆流たちの家の前にあった。
「爆流!!わたしだ!!飛駆鳥だ!弟のことで話がある、ここを開けろ!!」
だが、幾ら呼びかけても反応がない・・・・・・。
「様子がおかしいな・・・・・・。踏み込んで、調べろ・・・・・・。」
飛駆鳥の指示で、部下たちは、戸をぶち破ったが、そこは既にもぬけの殻であった・・・・・・。
「居ません!!飛駆鳥様!もぬけの殻でございます!!」
部下の報告で、飛駆鳥は確信した・・・・・・。
 
『間違いない・・・・・・。弟はここに居た・・・。しかも、爆流たちも絡んでいるな・・・。』
 
飛駆鳥は、部下たちに命令を下した・・・・・・。
「いいか!!絶対に、爆流たちを見つけだせ!弟も爆流たちと一緒に居るはずだ!!!」
『は、はい!!了解しました!!』
何時になくキレている飛駆鳥の命令に部下たちは、従うしか無かった・・・・・・。
 
そして、その頃。號斗丸たち3人の姿は、『恵亜須(エアーズ)の街』から遠く離れた、
『魔流連山(マルレーンざん)』にあった・・・・・・。