第9話
號斗丸からの発言を聞いて、大声を発した、超将軍の面々(爆流を除く)と鋼丸は、思いっ切り溜息を吐いた。
「…マジかよ、爆流…?」
溜息を吐きながらも、真っ先に回復した天地は、額に手を当てながら、爆流に尋ねた。
「あのな…俺かて、嘘や思いたかったわ…。」
爆流は首を振りながら、愁いを帯びた声で、天地にそう返した。
「まぁ…外見が、女性化したのなら…中身がそうなっても、可笑しくは無いんですがね…。」
雷鳴は、自身を納得させるかの様に…何処と無く呟く様に、そう言った。
「ま、まぁ…そうなるたい…。」
獣王は、何処か現実逃避している様な声色で、呟いた。
「今まで、そう来なかったのが、不思議だぞ…?」
半ば凹んでいる感じの、鉄斗羅は溜息を吐きながら、そう言った。
「…中身が変わっていても、可笑しくは無いな…。」
雷鳴の言葉に、千力は頭を抱えながら、呟いた。
「…そーだよな…。」
荒鬼は、最早コメントする事を諦めたかの様に、視線を遠くに飛ばしながら、呟いた。
「…中身が、そう変わっていても…可笑しくないですよね…?」
鋼丸は、誰かに尋ねるかの様に、項垂れながら、そう言った。
そして…號斗丸はと言うと…。
「なぁ…俺、どうすれば良いの?」
超将軍達より、凹んだ表情を浮かべながら、そう言った。
「…せやなぁ…取り敢えず、薬貰ってきたら、どないや?」
爆流は、號斗丸に、そう提案した。
「…そうだね。あれば、貰ってくる…。」
號斗丸は、痛む腹を押さえながら、事情を話して薬を貰う為に、部屋を出ていった。
そして、残った面々は…これからどうするかを、話し合いを始めた。
「どうするで?これから…」
爆流は、半ば諦めた様な表情で、皆に問い掛けた。
「…足止めは、確実に喰らうな…。」
荒鬼は、暫し考え込んだ後、そう言った。
「そうですね…コレばっかりは。」
雷鳴は、苦笑を浮かべながら、そう言った。
「そうだよなぁ〜…。」
天地は、頭を掻きむしりながら、そう言う。
「かと言って、余り止まる訳には、いかないたい。」
獣王は、至極真面目な顔で、そう言う。
「そうだな…見つかる確率の方が、高くなる…。」
そう言って鉄斗羅も、頭を掻きながら考え込む。
「でも、無茶をさせる訳には、いかないのもあるだろう?」
千力は、頭を抱えながら、そう言う。
「そうですよね…どうしましょう…?」
鋼丸は、深く溜息を吐きながら、皆にそう言った。
『『『『『『『『う〜ん…どうしよう…?』』』』』』』』
8人全員が、心の中で同じ事を言っていた、その時…號斗丸が、部屋に戻ってきた。
「ただいま、皆。」
號斗丸は、部屋の中心に集まっている、皆に声を掛け、自らも座った。
「あぁ…舞威丸。薬、貰えたか?」
爆流は、號斗丸に、そう尋ねた。
「何とか、貰えたよ。」
爆流達に、薬の袋を見せながら、號斗丸は、そう言った。
それを見て皆は、ホッと安心した顔になった。
「…それより、何の話を?」
號斗丸は、皆に何の話をしていたか、尋ねた。
「……これからどうするか…それを話してたんだ。」
その言葉に、皆の顔が引きつってしまい、余り引きつらなかった、荒鬼が、そう言った。
「…そっか、やっぱりか…。」
何となく予想はしていたのか、號斗丸は、そう言って溜息を吐いた。
「痛みは、どうなんですか?」
雷鳴は痛みの事を、號斗丸に尋ねた。
「うん、大丈夫だよ。さっき貰った時に、飲ませて貰ったから。」
そう言って號斗丸は、笑顔を浮かべた。
「良かったじゃねぇか。」
笑顔を浮かべた、號斗丸に釣られて、天地も笑みを浮かべた。
「うん…ホント。」
號斗丸は、ニコッと笑い、そう言った。
皆は、その笑みに釣られて、同じ様に笑った。
「でも…これから、本当にどうしよう…?」
號斗丸は、それを思い出して…そう言って、溜息を吐いた。
「「「「「「「「…そうだよなぁ…。(そうですよねぇ…。)」」」」」」」」
8人は、揃ってそう言い…溜息を吐いた。
その時…爆流と荒鬼が、揃ってこう言い放った。
「「2日程は、此処に滞在するか…。(しよか…。)」」
それを聞いた、號斗丸達残りの面々は、『はぁ!?』と大声を上げた。
「ちょ、爆流に荒鬼!どう言う事です!??」
真っ先に回復した、雷鳴は混乱した声で、2人にそう言った。
「そうだぜ、何でまた!!」
続いて回復した天地が、大声でそう叫ぶ。
「そんな事したら、見付かるかも知れないんだぞ?!!」
それに続いて鉄斗羅も、泣きたくなる様な声色で、そう叫んだ。
「そうたい、見付かったら終わりたい!」
同じく獣王も、可哀想なくらい、悲痛な声で叫んだ。
「そうだぞ、見付かったら世にも恐ろしい…。」
千力は、恐怖に身体を震わせながら…震えた声でそう言った。
「そうですよ!師匠に荒鬼殿、一体何を考えているんですか!?」
鋼丸は2人の発言に、頭を抱えながら、そう叫んだ。
「はぁ…落ち着いて聞いてくれ…。」
「せや、落ち着いてくれんと、話せへんわ。」
荒鬼と爆流は、言葉違うものの、同じ事を言った。
その一言で、皆が落ち着いた為、荒鬼と爆流は、理由を話し始めた
「先ず理由としては、號斗丸の体調だな…。」
腕を組み胡座をかきながら、荒鬼はそう言った。
「俺の体調って…?」
それを聞いて、號斗丸は首を傾げながら、そう言った。
それを見て荒鬼は、目線で、爆流に続きを促した。
爆流は、内心『自分で言え!』と思ったが…仕方なく説明しだした。
「あんな…舞威丸。もしもの話やけど…移動しとる時に、痛みが来るのは、我慢出来へんやろ?」
爆流はそう例えて、號斗丸に言った。
「う゛っ…それは、嫌だ…。」
痛みが来るのは、先程の事でよっぽど懲りたらしく…思いっ切り、顔を顰めながら、そう答えた。
「せやろ?しかも痛みは、2日目がいっちゃんキツイからなぁ…。」
爆流は、何処か遠くへ目線を飛ばしながら、そう言った。
「うわ…爆流、ホント?」
それを聞いて號斗丸は、思わず真剣な顔で、爆流にそう尋ねた。
「あぁ…ホンマや…。」
真剣な顔をして尋ねてくる、號斗丸に、爆流はそう返した。
その言葉を聞いて號斗丸は、思いっ切り顔を引きつらせた。
「…だ、大丈夫ですよ。號斗丸。」
余りにも顔を引きつらせたままで居る、號斗丸に、雷鳴は声を掛けた。
「で、出来るだけ、俺達もフォローはするから…な?」
続いて、ワタワタと焦りながら、獣王が言う。
「そ、そうだぜ!」
同じく焦りながら、天地もそう言う。
「そ、そうだ!だから、そんなに凍り付くな…な?」
鉄斗羅は、必死に言葉を選びながら、號斗丸にそう言う。
「そ、そうだ。余り気を落とすな…?」
千力も、號斗丸を傷付けない様に、優しくそう言う。
「そうだぞ、號斗丸!」
それに賛同する様に、鋼丸は、そう言った。
「…みんなぁ〜…。」
皆からの言葉を聞いて、號斗丸は、感謝で目を潤ませながら、そう言った。
そんな皆の様子を見て、荒鬼と爆流は、顔を見合わせて、微笑んだ。
「あふぁ〜…。」
話が終わり、夕飯を食べて直ぐに、號斗丸が、欠伸を漏らした。
「何だ、眠いのか?號斗丸。」
荒鬼は、眠たげにしている號斗丸に、そう尋ねた。
「うん…何だかんだで、疲れた…。」
號斗丸は苦笑しながら、そう答えた。
「もう寝たら、どないや?舞威丸。」
爆流は、眠たげにしている號斗丸に、そう言った。
「あ〜…そうする…。」
目を擦りながら號斗丸は、爆流にそう答えた。
「皆、お休み〜…。」
「「「「「「「「お休み、號斗丸。(舞威丸。)」」」」」」」」
そう言って號斗丸は、床に就き…皆は、お休みの言葉を掛けた。
そして、数分もしない内に…號斗丸は、眠りに落ちた。
「疲れてたんだな、號斗丸。」
眠りに落ちた、號斗丸を見ながら、天地はそう呟いた。
「まぁ…仕方が無いだろうな。」
鉄斗羅は苦笑しながら、そう言った。
「それはそうたい。」
獣王も笑いながら、鉄斗羅の言葉に、同意を示した。
「そうですね…誰よりも、疲れているはずですから…。」
雷鳴は、穏やかな声色で、そう呟いた。
「そうですね。1番、負担が掛かってますからね。」
鋼丸も、號斗丸を起こさない様に、そう呟いた。
「俺等も、寝ないか?」
荒鬼は首を回しながら、皆にそう言った。
「せやなぁ…俺も、眠いしなぁ。」
爆流はそう言って、大きな欠伸を漏らした。
「そうですね、寝ましょうか?」
雷鳴もそう言って、疲れからか目頭を押さえた。
「寝ようぜ〜…。」
天地はそう言って、自らの布団に移動した。
「「「「「「「「賛成…。」」」」」」」」
その言葉を合図に、各々自分の布団に、移動を始めた。
そして全員が移動し終わり、荒鬼が明かりを消そうと、皆に声を掛けた。
「消すぞ?」
皆が無言で頷いたのを見て、荒鬼は明かりを消した。
「皆、お休み」
「「「「「「「お休み〜…」」」」」」」
皆はお互いにそう言い、眠りに就いた。
序でに、同時刻…。
「す〜ぅ…。」
新生大将軍は、既に床に就いており…飛駆鳥はと言うと…。
「まだ、帰ってこないか…?號斗丸…。」
月を見ながら、未だ帰らぬ弟に、思いを馳せていた。
そんでもって、新風林火山四天王は…。
「全然、見付かんねーよな…。」
「ホントネ…一体、ドコに居るんダ…。」
「…また明日、探そう…。」
「そうだ、今日はもう休もう…。」
と未だに、手懸かり一つ掴めずに、探し回っていたりしていた。
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