欲求不満
―――苛々する!!
「…眠れねぇ。」
ベッドに横になりながら、俺は呟く。――ここ最近は、ずっとこの状態だ。
「ヤベェ、な…。」
ベッドから起き上がり、思わず溜息を吐いて…頭を掻きむしる。――この不眠の原因は、あの烏だ。
触れそうな程に近くにいるのにも関わらず、触れられない事で…余計に苛立ってしまって眠れない。
――結局の所、原因は『欲求不満』だ。
「…部屋に行くか。」
俺はそう呟いて、静かに自室を出て、烏の部屋に向かった。
部屋から出て直ぐに、烏の部屋の前に着き…部屋の戸を開けようとしたら、思い掛けない声が聞こえてきた。
『ん…やぁ…。』
「!?」
聞こえてきた烏の甘い声に驚いて、戸から手を放してしまった。――オイオイ、ちょっと待て!?
亜紀人が起きない様に人格の壁を強くし、烏に気付かれない様に静かに…ほんの少しだけ、戸を開ける。
「―――嘘だろ…?」
目に映る烏の姿に、思わずそう呟いて、目を見開く。
「あ…ふぁ…」
―――其処にいたのは、自分を慰め、乱れ啼く烏だった。
思い掛けない状況に、無意識に喉を鳴らしてしまう。
「マジかよ…。」
俺はその場に立ち尽くして、小声でそう呟く。――信じられ無かった。あの烏が、こんな事をしているだなんて。
絶えず聞こえる烏の声に、徐々に自身が反応してくるのが分かる。
「…!」
反応してきた自身に、思わず俺は冷や汗をかく。
―――このままだと肉体的にも精神的にも、ヤバイと分かっているのに…部屋に戻ろうとしても、足が動かない。
「ひゃ、やあぁ!」
聞こえた烏の嬌声に、僅かに正気に返る。――俺は理性が切れない内に、急いで自室に戻った。
「はぁ…。」
部屋に戻った俺は、天井を見上げて…深い溜息を吐いた。
「どーすんだ、コレ…?」
滾ったままの自身を一瞥して、俺は頭を抱える。
「――仕方ねえか…。」
俺はそう呟いて…火が点いた体を、自分で処理する事にした。
――結局…俺が平穏な眠りに就けたのは、明け方近い時刻だった。
翌朝――何となく…互いの間に妙な雰囲気が漂ってしまったのは――…言うまでもない。
End…?
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