それは襲って下さいって言ってるようなもんだぞ。
こんの烏は…!!
「…おい、ファッキンガラス。」
何時になく低い声で、烏に話し掛ける。
「…んだよ。」
こっちを向かずに幾分か拗ねた声で、烏はそう返す――その格好は下はちゃんとしているが、上は肌着一枚だ。
「――上、着ろ。」
「暑いから、ヤダ。」
俺の折角の気遣いに、烏は見事に一刀両断しやがった――…コイツは!!
「いい加減にしろ!そんでもって、何でも良いから、服着ろ!!」
「『暑い』っつてんだろ!だから無理!!」
とうとうキレた俺は、烏にそう怒鳴るが…烏はそう言って、聞く耳を持たない。
そんなこんなで言い合っていると、急に烏がこっちを向いた。
「理由言ってくんねえと、分からねぇよ…。」
そんな烏の言葉を聞いて、俺は心の底から溜息を吐いた。…分かんねぇのかよ!!
「オイ、カラス――テメェ…自分が『女』だって、自覚あるか?」
「――…多少は…。」
俺の問い掛けに、烏は少々自信なさげにそう答える。
(――こりゃ間違いなく、自覚ねーな・・・。)
そんな事を思って溜息を吐くと…そんな俺を見て、烏が首を傾げていた。
嗚呼…もう仕方が無いので、実力行使で分からせてやる事にした。
「んな!?おい、あ、咢!!??」
床に押し倒すと、烏は驚いたのか…体をバタつかせながら叫んだ。
「こーゆー事、無理矢理…されても良いのか?」
体をなぞりながらそう言ってやると、烏は漸く分かったのか…顔を赤くしたまま固まった。
「えっと…ゴメンナサイ…。」
「…分かりゃ良いんだよ。」
そう言って俺は烏の上から降り、背中を向けた。――流石に、見る気はしなかったしな。
烏は俺が降りた瞬間に、素早くTシャツを着て、俺の背中に凭れてきた。
「――ちったあ、自覚しとけ。」
後ろにいる烏に、そう言ってやると…微かに頷いたのが伝わった。
End.
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