この紅き夜の、夢心地の甘き時間。

02. 「どういうふうにされるのが好み?」

 

「…止…めろ…。」
身体中に走る甘い疼きに、破牙丸は身体を震わせる。
「…さっきから、そればかりだね。」
02は、破牙丸の指を口に含み…甘噛みしたりして、遊んでいた。
「…っ…!」
02の唾液が滴る感触に、破牙丸は、声にならない声を上げた。
「………」
それを見て02は無言で笑みを浮かべながら、破牙丸の指を口から放した。
そして、そのまま…破牙丸の身体に所有印を付けだした。
「あっ…!!」
僅かに走った痛みに、破牙丸は微かに声を上げた。
纏め上げられていた手首は、既に解放されている…破牙丸は抵抗しようと、手を動かしたが…
あっさりと、02に受け止められてしまった。
「やれやれ…諦めたらどうだい?」
そう言って02は、破牙丸の手の甲に口付けを落とし…そのまま舌で、手の甲を舐り始めた。
「ぅぁ…。」
舌が手の甲を舐る感触に、破牙丸は嫌悪感を帯びた声を上げた。

「…そんなに、イヤかい?」
その声を聞いて…02は、破牙丸の手の甲を舐りながら尋ねた。
「…っ!イヤに決まってんだろ!!」
キッ…と、02を強く睨みながら、破牙丸は言い放った。生理的な物か…その目には、涙が浮かんでいた。
「…そうか、じゃあ…。」
02はそう言って、破牙丸の手の甲から、漸く口を放した。
口を放され…破牙丸は、ホッと安堵の溜息を吐いたが…その直後、鋭い痛みが手首に走った。
「うぁっ!!!」
その痛みに破牙丸は、咄嗟に目を見開き…そして、きつく目を閉じた。
「痛いかい、01?」
02が、破牙丸の手首に噛み付いたのだ。そう囁いて…流れ出した血を、舐めだした。
「うっ…!」
02が流れ出す血を舐める度に、破牙丸の手首には痛みが走り…その度に声を上げた。
「…甘いね…。」
破牙丸の血で、濡れた唇を舐めながら、02は、うっとりと呟いた。
その表情は、何処か畏怖を感じさせる物だった。
 
「はぁ…。」
散々血を舐った後、漸く02は口を放した。痛みから解放されて、破牙丸は荒い息を吐いた。
「…大丈夫かい、01?」
何処かボンヤリとした目をしている破牙丸に、02は声を掛けた。
「大…丈夫じゃ、ねぇ…。」
涙を溜めた目で破牙丸は、02に強気にそう言い放った。
「…そうだね。こんな事でバテると、ボクとしても困るからね。」
強気な様子でそう言った破牙丸に、02はそう言って、破牙丸の首筋に噛み付いた。
「ひゃあ!」
02が首筋に噛み付いた感触に、破牙丸は、身を竦ませた。

「…傷付くなぁ、そんな反応されたら。」
02はそう言ったが…声色は、全く傷付いてはいなかった。そして――そのまま、破牙丸の首筋に舌を這わせた。
「そ…んな…事、ちっ…とも、思…って…ねぇくせにっ…!」
舌が這う感触に、破牙丸は――途切れ途切れになりながらも、02にそう言い放った。
「…まぁ、そうかもね。」
そう言いながら02は、破牙丸の両脇に手を突き…こう言った。
 
「さて…01。これからどういう風にされたい?」

――――キミが望む事を、好む事を、してあげるよ。――――

02は、破牙丸を見下ろしながら…甘い声色でそう囁きかけた。
破牙丸は…02のその言葉にボンヤリとした目を向けて――微かに頷いた。
…02には、それだけで充分な答えだった…。

折角の月夜。甘い破滅に、酔おうじゃないか。
天使の様なキミと、このボクとで、悦楽のシンフォニーを奏でようじゃありませんか?