甘ったるい匂い…理性を惑わす、魔性の香り。

501:バニラエッセンス

 

夜中に目が覚めて、隣を見てみれば…例の如く、烏の寝顔。
「ん〜…やぁ…。」
寝直そうとしたら、微かに聞こえた…烏の寝言――妙に甘い声に、思わず心臓が跳ねる。
「…どんな夢、見てやがんだ…」
無防備に眠っている烏を見ながら、頭を掻き…思わず呟いて、溜息を吐く。
『ザワザワ』と体がザワつくが…寝直そうと目を瞑った、その瞬間――。

「や…ぁ、ぎ…。」

最後までは聞こえなかったが…烏の口から聞こえたのは、明らかに自分の名前。
それを聞いた瞬間――『理性』と『欲望』の狭間で均衡を保っていた、理性が切れた。

烏の足の間に、自分の体を滑り込ませ、口付ける。
味わう様に唇を舐めて、息が出来ない程に…深く口付ける。
「ん…ぅ?んん!!?」
息苦しさに目が覚めたのか…烏が呻き声を上げながら、体をバタつかせた。
だが…足の間にいる為、然程ダメージはない。
「ぷは…咢!!な、何やってんだ!!」
唇を解放してやると、烏は顔を真っ赤にしながら、声を上げた。
「何って…言って欲しいのか?」
「――いいえ、結構ですッ!全力で遠慮します!!!」
そう言って、嗤ってやると…烏は本能的に恐怖を察したのか…速攻で拒否った。
「って言うか、退け!」
『俺は、寝たいんですけどッ!』――そんな声が聞こえたが…聞こえない振りをして、首筋に噛み付いてやった。
「いっ…!ちょ、マジで、ヤる気ですか!?」
首筋に噛み付いた事で目的を察した烏は、パニくっているのか…そう叫ぶ。
「ファック!往生際が悪いぜ?ファッキンガラス。」
耳元で囁いてやると…烏は体をビクつかせ、目をきつく閉じた。
そんな烏を見ながら、俺は…甘い匂いがする烏の首筋に顔を埋めた――…この餓えを満たす為に。

「あ…!ひゃ、やぁ!」
溢れてくる蜜を舐め取る度に、甘い声を上げる烏。
「イヤがってねえだろ、テメェのココは。」
舐め取るのを止めて…グッと指を押し込んでやると、烏のソコは…待ち侘びたかの様に、指を締め付けてきた。
――本当は。烏から溢れている蜜の所為で、慣らす必要はなかったのだが…。
「ひゃ、あぁ…ふぁ…。」
指を軽く抜き差しすると、烏の口から零れるのは…意味を為さない甘い声。
その声に、『ゾクゾク』と快感を覚えながら――俺は、烏のナカを引っ掻き回した。
「…やぁ、ぅん!あ、咢!」
「どうした、カラス?」
意地悪げに烏の耳を噛んで、そう囁いてやる。
その顔を見れば、聞かずとも分かる事だが…どうしても、烏の口から聞きたかった。

「あぅ…はぁっ、も、くれ…よぉ!!」

切なげな烏の声を聞いて、ソコから指を抜いて…自分自身を、一気に突き立てた。
「ぁああああ!!」
艶めかしい水音と共に、烏の口から嬌声が零れる。
「ヤラしいなぁ、カラス。」
「やっ…!言う、なぁ…!」
微かに揺らめく腰に、揶揄う様に囁いてやると…烏は顔を更に赤くしながら、睨み付けてきた。
「ちっ…!」
その瞬間…強請る様に締め付けてくる、烏のソコに――思わず舌打ちした。
何となくムカついたので、俺は少しだけ強く、烏のナカを突き上げた。
「ひゃあ、ん!あ、やぁあ!!」
突き上げる度に、烏の一際甘い嬌声が響き――過ぎた快感に、烏の体が戦慄く。

――ちっ、限界か…。

もう少しだけ、喰らっていたかったが…自分も限界に近かったので、奥まで突き上げた。
「やぁ、ぁ!あぎ、と…!もぅ…」
ガクガクと体を戦慄かせながら、烏は限界を訴え…しがみ付いてくる。
そんな烏の首元に顔を埋めて…一際強く、最奥を突き上げた。
「ぁあああぁあ!!」
「…っ!!」
一際強くしがみ付き、甘い嬌声を上げて…烏が達した。
俺自身も…その時の締め付けで、烏のナカで熱を吐き出し――果てた。

簡単な後始末を済ませて、気絶した烏の隣に、寝転がる。
「…カラス。」
横には疲れてはいるが、穏やかな寝顔。それを見て――ほんの少しだけ…頬が緩んだ。
――殆ど夜這い同然だったのは…アレだけど、この餓えは満たせたしな…。
そう思いながら――眠っている烏の首筋に、軽く噛み付いて跡を残した。
「…おやすみ、カラス…。」
そう呟いて、行為で疲れていた俺も眠りに就いた。
――翌朝の文句は、仕方ないから聞いてやろうと、覚悟を決めて。

――もう、あの理性を狂わせる甘い匂いはしなかった。

End.