ちゃいるど★ぱにっく


運悪くウチの両親は昨日から海外旅行中で連絡がとれない。仕方なしに冬休み中の
ワシが応対することになり玄関に出る。

「すまないね、家康君。急ぎの用だったので事前に連絡する時間も惜しかったんだ。」

半兵衛さんとは、親を通して数回会ったことがあるくらいだが、半兵衛さんとその
上司の秀吉さんは仕事上の付き合いのある親父だけでなくワシにまでよく気を使ってくれる人達で、春には大学の入学祝いを頂いたりなんかしていた。

「いえ、構いませんよ。親父達が留守ですいません。ワシで分かることなら親父に
伝えておきます。」

「ああ、いや・・・そうだな・・・実は君に頼みたいことがあるんだけど・・・。」

「ワシにですか?」

話が長くなりそうなので、ワシは取り合えず家に上がって貰うように促したのだけど、
半兵衛さんはがんとしてそれを断った。

「あのね、実は僕と秀吉は急遽ヨーロッパに行かなきゃならないんだけど・・・その間
預かって貰いたいんだ・・・。」

いつもは美しい容姿とともにはきはきとした物言いが魅力的な半兵衛さんが、今日は
なんとなく歯切れが悪い。
だが、その言葉尻からなんとなく言いたいことは分かった。恐らく、出張の間ペットかなんかを預かって欲しいと言うことなんだろう。
せっかくの冬休みに面倒が増えるのはごめんだが、動物好きな家康は半兵衛の
申し出を悪くないと思っていた。
何せ遊びに行く予定だった友人達がそろいもそろって流行風邪にかかって、冬休みの
家康の予定はガラ空きだったのだ。
そんなわけで、家康は半兵衛の申し出を二つ返事で了承した。

「いいですよ。ワシ、暇だから。」

にこやかにそう答えると、大きなコートを着た半兵衛の後ろに隠れていて今まで
見えなかった影から、小さな子供がひょこりと顔を出した。
歳の頃は大体10才くらいだろうか?半兵衛さんとよく似た銀髪の利発そうな男の子だ。

「本当かい?家康君!いやあ、助かるよ。頼みにしてたベビーシッターさんが風邪を
引いちゃって、代わりもすぐには見つからないし、困ってたんだ。ほら、佐吉、黙って
ないで、君も挨拶するんだよ?」

佐吉と呼ばれた少年はおずおずと半兵衛の後ろから出てくるとワシに向かって
ぴょこんとお辞儀をした。

「・・・さきちです。よろしくお願いします。」

「え?あ、はい。よろしく。」

ワシがイマイチ展開についていけないでいると、半兵衛はそそくさとドアを開けて
去ろうとする。

「じゃあ、よろしく頼むね!明後日には迎えにくるから、それまでよろしく〜!」

「え?ええ!?ちょっと!預かるってこの子?・・・・半兵衛さん!?」

慌てて追いかけるが半兵衛さんは風のように去っていってしまった。ワシがため息を
ついて家の玄関に戻ると、先ほどと同じ位置で佐吉がワシを待って立っていた。

「ええっと・・・佐吉君?だったか。ワシは家康だ。とりあえずよろしくな?」

にこりと笑って手を伸ばすと、佐吉は驚いたように目を見開いた。そして、突如
ふいっと目を逸らすと靴を脱いで勝手に家へ上がりこむ。

「ちょっと、おい!・・・ってま、いっか。」

相手は子供だ。佐吉にしたって突然見も知らぬ男に自分を預けられて困惑しているの
だろう。
家康はそう思って、それ以上言わず黙って佐吉の後をついていくことにしたのである。

佐吉はリビングに入ると真っ直ぐにソファに向かい腰掛けた。そのまま微動だに
しないので、ワシも佐吉と向かい合わせのソファに座る。

「なあ、佐吉君。佐吉君って半兵衛さんか秀吉さんの子供なのか?」

ワシは何も詳しい事情を聞いていなかったので、軽い気持ちで佐吉にそう聞いた。
佐吉はワシの質問に目を丸くしてその後子供にしては鋭い睨みを利かせてワシを見た。

「そんなことあるわけないだろう!お二人に失礼だ!わけあって1週間程前から
お世話になっているのだ。」

「へ?あ、そうなんだ。」

そんなにムキになって反論する所だろうか。しかしまあ、二人のどちらかの子供というわけではなさそうだ。では、きっと親戚の子供かなんかなのだろう。

「えー・・と。なんか、子供が遊べるものあったかなあ・・・?あ!ゲームは?ゲーム
するか?佐吉君。」

「げーむ?なんだ、それは。」

「え?ゲームしたことないのか?ちょっと待ってろ、今持ってくるから。」

今時の子供にしては珍しい反応だ。ゲームもさせないような厳しい家庭で育って
いるのかもしれない。
ワシは階段を駆け上がって自分の部屋へ行くと、ゲーム機一式を抱えて佐吉の待つ
リビングへ戻った。
ワシが戻った時、佐吉は先ほどとまったく同じ体勢で真っ直ぐにソファに腰掛けて
座っていた。
やはり、相当しつけの厳しい家庭で育ったに違いない。

「じゃじゃーん。どれがしたい?って言ってもワシ、格闘系のゲームしか持って
ないんだがな。あ、これなんか簡単かもしれん。」

ワシはゲーム機をセットするとTVをつけた。ゲームのオープニング画面を佐吉は
目を瞬かせてじっと見ている。

「ほら、このコントローラーをこうやって持ってだな。ここを押すと攻撃ができるんだ。
移動はここ。とりあえず慣れるまで色々ボタン触ってみるといい。」

コントローラーを握らせておおまかに操作を教えてやると佐吉はこくんと頷いた。
たどたどしくボタンを押す様を見るところ、やはりゲームをするのは
初めてなようだった。

「こいつをやっつければいいのだな?」

「そうそう。ほら攻撃は避けてもいいが、ここを押したらガードもできるぞ?」

「む・・・!」

しばらく一緒に画面を見ながら教えていたが、佐吉は覚えのいい子で見る間に
使い方を覚えていった。それと同時に、夢中になってゲームをするようになったので、ワシはひとまずホッとして立ち上がる。

「じゃあ、しばらくそれでおとなしく遊んでてくれよな。ワシは夕飯作るから。」

「わかった。」

画面に釘付けの佐吉の頭をポンポンと軽く叩いてワシは台所へ向かう。夕飯を作ると
いっても、今日は両親がいないのでカップ麺でも食おうかと思っていた所だ。だが、
佐吉がいるのだからそういうわけにもいくまい。
とりあえず、ご飯をたいて・・・そうだ。レトルトのカレーがあったはずだ。ワシは何故か楽しい気分になっていそいそと夕飯の支度を始めるのであった。



「佐吉君ー!ご飯できたぞ。」

台所から声を掛けると佐吉はさっとコントローラーを置いてこちらへやってきた。
きちんとTVまで消してくる所がやはり行儀が良い。

「有り合わせで作ったから大したものはできなかったが、中辛カレー食えるか?」

「かれー?」

「え?カレーライス知らないのか?」

思いも寄らぬ反応に少し驚いた。子供だから好きだろうと思って用意したカレー
だったのだが、まさか知らないなんて。
佐吉はテーブルに置かれた皿の上の料理をじっと見つめると首を傾げている。

「シチュー・・・みたいなものか。」

「ああ!そうそう!そんな感じだ。」

シチューは知っていてカレーは知らないのか。まあ、各家庭で色々好みもあるだろう
からそういうこともあるかもしれない。
佐吉はスプーンを持つと恐る恐るカレーをすくって口に入れる。一瞬眉を顰めたが
その後の驚いたような表情がかわいらしいじゃないか。

「・・・・シチューじゃないが、悪くない。」

「だから、カレーだって。本当に食べた事ないのか?学校の給食とかでもでるだろう?」

佐吉はワシをちらりと見るとまたすぐに俯いてカレーを食べながらぽつりと呟く。

「学校など行った事ない。今は半兵衛様の元で勉強を教えて頂いているが。」

「え!?」

「シチューもこの間半兵衛様が作って下さって初めて食べたのだ。とても美味しくて、温かくて驚いた。」

「え?え?おい、佐吉君、普段どんなもの食べてるんだよ。」

「・・・パンとか・・・。菓子も良く貰った。」

佐吉の話はどう聞いても普通の子供の生活ではないような気がしてワシは悪い予感に胸を締め付けられた。事情を聞いてもいいのか戸惑っていると、佐吉が空になった皿の上にスプーンを静かに置いて、ワシを見た。

「うまかった。後・・・私のことは佐吉でいい。」

そう言って笑った佐吉は何故かとても大人びていて、ワシはなんだかせつない
気持ちに陥ったのだった。

夕食後再びゲームを始めた佐吉と対戦したり、トランプをしたりした。佐吉はどんな
遊びもほとんど知らなかったが、誘えば喜んでしようとするし、楽しそうにしてくれる。ワシは弟ができたみたいでなんだかとても温かい気持ちに浸っていた。
そうだ、明日はキャッチボールでもしようかな。きっとそれも初めてだとか言うのかも
しれないが。
佐吉の様子や言葉の端々から、どうやら佐吉は本当にとんでもない生活を強いられて
いたようだった。それを半兵衛さん達が引き取ってくれたとかで、佐吉は大層
半兵衛さんと秀吉さんを慕っているらしい。
不幸な境遇だったにも関わらず、佐吉は非常に真っ直ぐでとても素直ないい子だ。
ワシも佐吉の為に何かしてやりたい。そんな気持ちをワシは抱くようになっていた。

「佐吉、一緒に風呂に入ろうか?」

しばらくたって風呂を沸かしそう声を掛けると佐吉は困ったような顔をしてワシを見た。

「一緒にか?」

「ん?ああ、嫌なら別にいいんだが。」

「・・・・別に嫌ではないが。」

確かに10歳くらいになれば一人でも風呂くらい入れるだろうが、ワシは佐吉とゆっくり話しをしてみたくて風呂に誘ったのだった。
昔から裸の付き合いというじゃないか。風呂につかってリラックスすればたくさん
楽しい会話ができるだろう。

佐吉は持って来た小さなボストンバッグの中から真新しいパジャマと下着の替えを
取り出す。
「こっちだ。」と促せば佐吉は黙ってワシの後をついてくる。だが、風呂場につくまで
何か考えているように見えた。

風呂にはなみなみとお湯を入れておいた。親がいればもったいないと怒られる所
だが、今日は佐吉もいるし特別だ。二人で湯船につかれば湯が滝のように浴槽から溢れ出し、佐吉が喜んで声を上げた。
ワシは佐吉の髪も洗ってやった。佐吉の髪を泡だらけにして、長い前髪ごと逆立てて
やれば、佐吉は恥ずかしがってワシを睨みつけたけど、きっと内心喜んでくれてる
はずだ。
体も洗ってやろうかと言うときっぱりと断られたが、やはり一緒に風呂に入った
おかげか佐吉はだいぶワシに打ち解けてくれたように見えてとても楽しかった。

佐吉が体を洗い終わりワシが背中にお湯をかけてやっていると、突然佐吉が
ワシの方を振り向いた。驚いて目を瞬かせていると、佐吉は少し照れたような顔で
俯き加減に呟く。

「家康・・・今日はありがとう。楽しかった。」

「そうか?ワシは何にもしてないけどな。」

佐吉の感謝の言葉に、ワシはくすぐったさを覚えて頬をかく。すると佐吉は顔を上げて
真っ直ぐワシの方を見る。

「ゲームも面白かった。カレーも美味かった。風呂がこんなに楽しいと思ったのは
生まれて初めてだ。」

「佐吉・・・。」

佐吉の言葉にワシの胸がキュンと鳴る。佐吉・・・お前本当にいい子だな・・・ワシ・・・
ワシ・・・。
けなげな佐吉の言葉に感動するワシが目頭を熱くしていると、佐吉は濡れた手に
石鹸をつけてぶくぶくと泡立てはじめる。ん?何をする気なんだ?

「お礼をしたいが・・・私にはこんなことしかできない・・・。」

「いや、お礼なんて・・・って佐吉!?」

佐吉は身を屈め膝をつくと、おもむろにワシの一物を両手で掴んだ。驚いたワシは
立ち上がろうとして失敗し、風呂場用の椅子から転げ落ちて風呂場の床にごろんと
転がった。

「大丈夫だ、家康。私は慣れているから。」

「な・・な??なれ??」

混乱した頭でなんとか考えをまとめようとするが、目の前の光景の異常さにパニック
寸前だ。
佐吉は動けないでいるワシを見て妙に大人ぶった笑みを浮かべると、両手で掴んだ
ワシのモノをペロペロと舐め出した。

「ちょ・・・!ちょっと!佐吉!やめろ・・・!何でそんなこと!?」

「何故だ?気持ちよくないか?」

佐吉はそう言うとその小さな口で先端をかぷりと咥えた。直接与えられた強い刺激にワシは思わず声を上げてしまう。

「ひゃっ・・・ちょ・・・やめ・・・ふああ・・・。」

佐吉は両手をスライドさせながら先端を唇で愛撫する。時折括れの部分や割れ目を
小さな舌でつつかれて、ワシの気持ちとは裏腹に下半身が素直に反応してしまう。
だめだ、こんなこと。佐吉に言って聞かせなくては・・・。そう思って身を起こそうと
するのに佐吉の掌に腰を撫でられて力が抜けていく。

「佐吉・・・!駄目だ!・・やめっ・・あっ・・・離して・・・!」

たった10歳の子供が一体どこでこんなことを覚えてくるのか。佐吉の手の動きや舌の
使い方はとても見よう見まねとは思えない、おそらくかなりの場数を
こなしているのだろう。
ちゅばちゅばと濡れた音が浴室内に響く。いけないことをしているのは分かって
いるのに、佐吉の絶妙な手管にワシはどんどん追い上げられていく。

「ん・・・チュパっ・・・家康。もう出そうか?」

完璧に立ち上がったワシのモノが解放を待って震えている。佐吉は、だらだらと
流れ続けるワシの先走りをその小さい指に絡ませてあろうことか、ワシの尻に手を
這わした。

「もっと、気持ち良くしてやるからな?家康。」

「え?おい・・まさか・・佐吉!やめ・・・あああっ!」

佐吉の細い指がつぷりと音を立ててワシの尻の穴に入っていく。痛みはないが内蔵を
触られる感覚が気持ち悪い。ワシの体内で佐吉の指がゆっくりと蠢く。指の動きに
合わせてもう片方の手で再び前を扱かれワシは再び快感に身を震わせた。

「んっ・・・はァッ・・・だめ・・佐吉ぃ・・・。」

微かに残った理性で佐吉を嗜めようとするが、口から漏れるのは甘く縋る声だけで、ワシは自分が情けなくて恥ずかしくて・・・。佐吉はそんなワシを見てまた大人びた
笑みを浮かべて言う。

「家康・・・気持ちいい?かわいいな、家康・・・。」

「馬鹿・・・!子供がそんな・・・ああっ、ああっ・・・!やっ・・・そこ!」

いつの間にか2本に増やされていた佐吉の指がワシの前立腺をぐりぐりと押した。
体中を痺れるような快感が遅い、ワシはぐっと腰を引きつらせ白濁を吐き出した。
佐吉は自分の顔についたワシの精を指で掬ってペロリと舐めると眉を顰める。

「な・・っ!そ、そんなもん舐めるんじゃない!」

「濃いな・・・家康、貴様童貞か?」

まるで夕食のメニューを聞くかのごとく平静とした口調で聞かれ、ワシは羞恥で顔を
赤くする。なんなんだ・・!もう!お前と言う奴は・・・!
自然と目尻に涙が浮かびぽろりと零れる。それを見た佐吉が不思議そうに首を
傾げながら身を伸ばし指先でワシの涙を拭う。

「何で、泣いてる?良くなかったか?」

「そんなんじゃない・・!こんなこと、間違ってる・・こんなことしちゃ駄目なんだ、
佐吉・・!」

「何故だ?そんなことを言う奴はいなかった。」

佐吉は困惑の表情を浮かべながらぽろぽろと涙を流すワシを眺めている。何で
そんなこと言うんだ。誰が佐吉にこんなことをさせると言うんだ。ひどい、ひどすぎる。
ワシは起き上がると両腕で佐吉を抱きしめた。佐吉がどんな境遇で育ったのかは
知らないが、もう二度とこんなことをさせないでいいように・・・・あっ・・ん!

「佐吉!!乳首を舐めるのも禁止だ!!」

「え?違ったのか?じゃあ、私はどうしたらいいんだ?」

怒られてしゅんとする瞳は硝子球のように澄んでいてどこまでも純粋だ。
ワシは怒るのも馬鹿らしくなって脱力する。

「佐吉・・・お前は何もしなくていいんだ。そして、もう二度と誰かにこんなことしちゃ
だめだぞ?」

諭すように言って佐吉の頭を撫でると佐吉はこくんと頷いた。

「わかった。もう誰にもこんなことはしない。家康だけにする。」

「だーかーらー!!違ーーう!!」

なんと言えば分かってくれるのか、ワシは頭を抱えて苦悶する。すると、佐吉が
くしゃんと小さくくしゃみをした。
そうか、すっかり体が冷えてしまったのだな。

「風呂に入りなおすか、佐吉。」

「うん!」

ワシらは十分に体を湯で温めてから風呂を出た。歯を磨いてからベッドに二人で潜り込むと、佐吉はあっという間に眠りに落ちた。
ワシはすやすやと安らかな寝息を立てる佐吉の髪をそっと梳いてやる。
こうやって、寝ている時は本当にかわいい子供にしか見えないのになあ・・・。
かわいい寝顔に癒されながらワシも眠りにつくのであった。


次の日の朝。

「さ・・・・!佐吉ーー!!お前何やってるんだあ!?」

違和感を感じて目を覚ますと佐吉がワシの股の間に座り込んでパジャマのズボンを
脱がそうとしている所だった。

「いや、家康が朝立ちしてたから抜いてやろうと思って・・・。」

「だぁーーーー!もう!!」

これは、とんでもないものを預かってしまった・・・ワシは初めて半兵衛さんから佐吉を
預かったことを後悔していた。
これが、ワシと佐吉の初めての出会いの話だ。
まさか、この後佐吉ととんでもなく長い付き合いになるとは、まだワシは思っても
みなかったのである。




あまね様から頂きました、『佐吉×家康』のSSです。
ショタ攻め――とっても新鮮でした、最後(爆)まで行ってないのが、また…。
素敵な字チャ宿題SSをありがとうございました!!