「りんく〜…。」
甘えたその声に背筋が震えた。
その日――リンクは定期報告の為、半日程、中央庁の方に顔を出し…本部に戻ってみると――何やら司令室の方から"凄まじい"の一言に尽きる音が聞こえたので、
行ってみると…リナリーがコムイを蹴飛ばし足蹴にしていた。その様子に"また何かやらかした"と思い、手近に居たジョニーを捕まえて話を聞いてみると――。
「――アレンが…室長の作った薬品を被っちゃったんだ!」
「――な?!」
その言葉に"どう言う事だ"と問い詰めると、リナリーと一緒に科学班の面々にコーヒーを配っていた所…コムイの机に積み重なっていた書類が倒れ、その上に載っていた
薬瓶がアレンを直撃したとの事。
「――で…ウォーカーは今何処に…?」
「――薬の効能が効能だから、俺らとリナリーで部屋に押し込んだ。」
それを聞きリンクは"未だ何の薬品を被ったか聞いてなかった"と思い当たり、率直に尋ねると…ジョニーは非常に気まずい表情で"効能"を耳打ちした。
その"効能"を聞いたリンクは"ザー"と音がしそうな程一気に青褪め、猛ダッシュでアレンが居る部屋へと向かった。
「――ウォーカー、居ますか?!」
肩で息をしながら部屋のドアをノックするが、応答がない――"眠っているのか"と一抹の希望を抱きながらドアを開けると…丸い物体が猛スピードで飛んできたので、
咄嗟に掴んでみると――それはティムキャンピーだった。
「てぃ、ティムキャンピー…」
ほぼ条件反射で掴んだティムは暫くジタバタしていたが…自分を掴んでいるのがリンクだと分かると、直ぐにリンクの手の中から抜け出し…アレンが使っている
ベッドの方へと飛んで行く――その動きを追ってベッドの方を見てみると人1人分の膨らみがある。"もしや"と思い近付いて声を掛けた。
「――ウォーカー。」
「――ん、ぁ…?」
その膨らみに声を掛けてみると、予想通りアレンがシーツの中で丸まっていた――が…その目は何処か遠くを見ている様に胡乱だ。そんなアレンの様子に
"やはり薬が効いているのか…"と凹みたくなったが、気を取り直して再びアレンに声を掛ける。
「ウォーカー、私が分かりますか?」
そう呼びかけるとようやっと視線がリンクを捉えた――すると"ふにゃん"とアレンが笑顔になる。その笑顔に気を取られていると…腕を引っ張られ、そのまま
ベッドに引き倒された。
「っ、ウォーカー!なにを…」
引き倒された事にリンクは声を荒げたが、途中で言葉に詰まった――何故なら、アレンが自分の腹の上に乗っかっていたからだ。
「うぉ、ウォーカー…。」
戸惑うリンクにアレンは"ニコリ"と笑ってリンクに擦り寄った所で冒頭に戻る。
背筋に走った震えに"これはマズイ"と思い、アレンを引き剥がそうとしたリンクだったが――。
「――こんな事する僕はキライですか…?」
…なんて潤んだ目と悲しそうな声で言われてしまい、引き剥がそうとした手が宙を掻く――そんなリンクに構う事無くアレンが擦り寄ってくる、しかも擦り寄ってくる度に
柔らかな部分が当たるので堪ったものではない。
(…本気で恨みますよ、室長…!!)
この状況の元凶を作ったコムイにリンクは心の中で恨み節を呟いた――そう、アレンが被った薬は所謂"媚薬"と呼ばれる物だった。
「リンク…。」
「――な、何ですか?」
その声で我に返ったリンクがアレンを見れば――先程の様子とは打って変わって、頬を上気させ切なそうに顔を歪めていた。
「…さっきから身体が熱いんです…。」
その言葉にリンクの中で警鐘が鳴る――一応"理無い仲"ではあるし"そう言う事"もしている…が、今のアレンは薬で半ば理性が飛んでいる。
"この状況で手を出して良い訳がない"と思うが、"色に溺れたアレンを見てみたい"と思ってしまう――何だかんだ言ってもリンクとて年頃の青年なのだ。
そんな考えがリンクの脳裏に過ぎり、完全に身体が固まってしまう――すると、痺れを切らしたアレンがそんなリンクの手を掴んで自らの胸に持って行き触れさせる。
その行動に"ぎょ"と目を瞠ったリンクだったが、伝わってくるアレンの鼓動と"ふにゅ"と掌に感じる胸の感触に"ゴクリ"と喉が鳴る。
「――も、どうにかしてください…。」
(ああ、もう――どうにでもなれ!!)
吐き出されたアレンの息の熱さと言葉に、耐え切れなくなったリンクは心の中で叫んでアレンに口付けた。
「っ、あぁ!!」
あの後――常に無い乱雑さでアレンをベッドに押し倒しその衣服と下着をを剥ぎ取り、自らもジャケットを脱ぎタイを外したラフな格好になったリンクが、
顕になっている胸を鷲掴むと…アレンは喉を晒して短く喘ぐ。
「…随分と感じていますね。」
胸に触れたままそう言えば、アレンの身体が"ビクッ"と震える…そんなアレンの反応に、リンクはちょっとだけ後ろめたさを感じる――意地が悪いのは自分でも
分かっている…がこうでもしないと自制出来ないのだ。
「っ、だっ…てぇ、リンクの手…気持ち、いぃ…。」
(〜〜〜〜〜っ!!!)
喘ぎ混じりの声で言われて、リンクは湧き上がる衝動を押さえ込む様に"ギリギリ"と歯を食い縛る――折角…こちらが自制していると言うのに!!
(――いっその事、このまま…)
そんな狂暴な考えが一瞬リンクの脳裏を過ぎるが、"流石にそれは…"と思い直す――そんな事をすればコトが終わった後、自分の身が危ない気がする…色々な意味で――
キレたアレンは普段とは打って変わって非常に怖いのだ…精神的に。その連想から"黒い笑顔"でにじり寄るアレンが思い浮かんでしまい、リンクは嫌な意味で
背筋を震わせた。
「――リンク…?」
その声で我に返ったリンクがアレンを見ると、今にも涙が零れ落ちそうな程に銀灰色の目が潤んでいる――そんなアレンを見て"愛撫がお座なりになっていた"と気付いた
リンクは触れている方はそのままに、もう片方の胸の突起を口に含む。
「きゃぅ!」
アレンの可愛らしい声に気を良くしたリンクが更に愛撫を施していけば、アレンは嬌声を上げながら身悶える。そんなアレンの嬌態にリンクは"コクリ"と一つ息を呑んで、
悶えるアレンの白い足を割り開き、蜜口に触れると既に蜜が溢れていた。
「――凄いですね…」
指に感じた蜜の量に思わず呟く――が…当のアレンには聞こえていない様で、荒く息を吐くだけだ。先程の呟きが聞かれていない事にリンクは少しだけ安堵し、
溢れた蜜を指で掬い、花芯に触れる。
「っ、ゃあぁ――!!」
すると――少し触れただけでアレンは悲鳴に近い声を上げて達してしまった――薬に侵されているとは言え、余りにも激烈とも言える反応に煽られたリンクは
些か乱暴に指を2本アレンの蜜口に突き立てた。
「あ…ひぁ、あ…!」
突き立てた指を動かせば、アレンの口からは甘い声がひっきりなしに零れ落ちる――その声を聞いてリンクは気が急くのを感じたが…何とかそれを押し殺し、
アレンの蜜口を解かしていく、暫くそうしていると――。
「ね、リンク…!」
「…何ですか?」
その声にリンクは愛撫の手を止め、アレンの方を見ると…目は涙で潤み切なげな顔をしてアレンはこう言った。
「――も、りんく…の、欲しぃ、よぉ…!」
――プツンっ!!
…その言葉にリンクは自分の中で理性が切れる音を聞いた気がした。
アレンの蜜口から指を引き抜いたリンクは、性急にボトムの前を寛げ…既に兆している自身をアレンの蜜口に宛てがう。
「――挿入ますよ。」
短くそう言って、リンクは一気にアレンの中に押し入った。
「っ、ああぁ――!!」
「く――!」
押し入った途端――思いっきり締め付けられたリンクは微かに呻くが、何とか一呼吸置き"動きますよ"と告げて普段より乱雑に腰を動かし始めた。
「ゃあ!りん、っ…ひ、く‥つ、ょいぃ…!!」
「――無理です…っ」
強い快楽にアレンは頭を振って訴えるが、当のリンクは半ば息を詰めながらそう返す――本当は自分だって優しくしたい…だがこっちは散々煽られているのだ、
今更優しくなんて出来るはずもない。そんな事を思いながら最奥を突き上げれば、アレンの身体が"ビクッ"と跳ね上がった。
「ひっぐ‥こわ、りん‥く、こわい、よぉ…!」
「――ウォーカー、大丈夫だから…」
怯えるアレンの手をリンクが自分の背に回させると、"ギュッ"とアレンがしがみついて来た――その際、爪が皮膚に食い込んで少々痛みを感じたが…
それ以上に身も世もなくしがみつくアレンが愛しかった。湧き上がる衝動のままアレンを突き上げていけば、段々とその嬌声の感覚が短くなっていくの聞いて
アレンの限界を感じ取ったリンクは一際強く突き上げ…自身を引き抜こうとしたが…。
「――な?!ちょ、ウォーカー!?!」
「やだ、抜いちゃ、やだぁ!!」
その瞬間――リンクの腰にアレンの脚が絡み付き、自身を抜こうにも動けなくなってしまい…リンクは思いっきり狼狽えた。
「ウォーカー…っ、お願いだから脚を離してっ…!」
どうにかして自身を抜こうとリンクはアレンを宥めるが…当のアレンは"イヤイヤ"と首を振るばかりで脚を離してくれず、アレンの身体の事を考えるとどうしても
ナカで果てる事を避けたいリンクは更に慌てた。
「あ、ぃああぁ――!!」
「――っ!!」
そうこうしている内に、アレンは頂点に達し…結局リンクもそのままアレンのナカにその熱を吐き出した。
「――ひく‥ふぇ、ひっく…。」
「…?」
絶頂の余韻と疲労で荒く息を吐いていると、何やらしゃくり上げる声が聞こえたので見てみると――アレンが"ポロポロ"と涙を流しており…それを見たリンクは
そっと涙を拭ってやる。
「一体どうしたんですか…?」
泣きじゃくるアレンにリンクはそう声を掛けるが――続くアレンの言葉に何故泣いていたのかを察した。
「――ひくっ、たりな…たりないよぉ…」
その言葉と共に"ザワリ"とナカが動いた事で、リンクはまだアレンの身体から薬が抜けていない事を悟った――恐らく未だに引かない熱に戸惑っているのだろう。
(…そんなウォーカーに欲情する私も私か…)
簡単に熱を取り戻した自身に内心呆れながらも、リンクは自身を収めたままアレンを引き起こして自分を跨がせる様に座らせた。
「ひゃん!?」
すると――ナカに収まったままのリンク自身の角度が変わった事でアレンは甘い声を上げ…そんなアレンにリンクは問い掛ける。
「――まだ足りないのでしょう?」
その言葉に応える様にアレンのナカが蠢き、リンク自身を締め付ける――その締め付けに熱い息を吐きながら、リンクはアレンの耳元に唇を寄せる。
「君が満足するまで付き合います」
その言葉と共にリンクは、再びアレンの身体に愛撫を施し始めた。
結局――アレンの身体から薬が抜けて熱から解放されたのは明け方近くの事だった。
尚――暫くの間、様々な要因でベッドから動けなくなったアレンを甲斐甲斐しく世話するリンクの姿が見られたらしい。
そして――後日、事の元凶であるコムイが何者かに闇討ちされたらしいが…何となく犯人を悟った面々は『自業自得』と口を揃え犯人探しをする事はなかった。
End.
Title:『Fortune Fate』/執筆中BGM:『臍淑女-ヴィーナス-』・『HEY!真昼の蜃気楼』・『Gang★』