「は…ぁ…。」
彼女の口から零れた吐息は、凄まじく甘かった。
「…大丈夫か?」
そう声を掛ければ…普段は凛とした目からは、信じられない程…蕩けきった目で
見上げてきた。
「――続けるぞ。」
私はそう言って、再び柔らかな身体に触れた。
「あ、ああっ!!」
薬で敏感になった身体は、僅かな愛撫でも反応し――陸に揚がった魚の様に震えた。
「や…も、」
「止めるか…?」
首を振って抵抗する彼女にそう言えば、当の本人は更に首を振った。
「――なら…どうして欲しい…?」
「ひゃ、そ…れは…――。」
私は耳に舌を這わせ、彼女に尋ねる――多少、意地が悪いのはアレだが…
困ったのは事実なので、棚に上げておく。
「ぁ…ちゃ、ちゃんと…―――。」
「――了解した。」
辛うじて聞き取れた催促に応じて、私は身を沈めた。
「ひ、ああぁ!」
「く…。」
何度目かの終わりを迎えて、自身を抜こうとするが…彼女が、離してくれない。
「く、ふぁ…あ…」
「…未だ、足りないのか?」
喘ぐ彼女に問い掛ければ、強請る様に…私自身を締め付けた。
投げ出された足を抱えて、私は再び彼女に押し入った。
「ひ、きゃぁ…!」
殆ど悲鳴とも言える声が、彼女の口から零れたが…お構いなしに、私は激しく
動いた。
「ぁ、じぇ…い…ぁあ!」
喘ぐ声に混じって呼ばれる私の名前に、尽きかけていた欲が衝動と共に、身体中に
駆け巡った。
駆け巡った衝動に逆らわずに、私は一際強く、彼女を突き上げた。
「い…っぁああ―――!!」
「――っ!」
悲鳴を上げながら、彼女は達し…私もほぼ同時に熱を吐き出した。
気絶する様に眠った彼女から、自身を抜き…隣に転がる。
「はぁ…。」
隣で眠っている彼女を、見遣りながら…私は溜息を吐いた。
「幸せそうだな…。」
スヤスヤと眠っている彼女に、私はそう呟く――此方は後始末も出来ない程、
疲れていると言うのに…。
「起きたら…こうなった理由を聞かせて貰うぞ。」
眠る彼女に取り敢えずそう言って、私も眠る事にし――目を閉じた。
翌日――2人揃って、寝過ごした挙げ句…私は背中の引っ掻き傷を親友に
揶揄われた上に…――彼女は彼女で、自身の従妹に揶揄われる羽目に
なったのは…言うまでもなく…――。
序でに――彼女が薬を誤飲した原因については…それはまた別の話である。
End.