「――お腹空いたなぁ…。」
満天の星空を眺めながら、家康はそう呟いた。
誘惑フレーズ
先程まで一緒に食事をしていた友人が居れば『嘘だろ?!!』と確実にツッこまれる
だろうが…空いたものは仕方がない――と言うのも、実は家康は人間ではない。
『夢魔』と呼ばれる、人の精気を糧にして生きる魔物の一種なのだ。
何故、そんな家康が人の世界で生活出来ているのかと言うと…人の食事でも
エネルギーを摂取できる体質だったからだ。が――流石に長期間精気を摂取して
無いとなると…話はまた別である。
(――流石にキツイなぁ…)
長期間の空腹から家康が溜息を吐いたその時――。
「ねーねー、暇なの?」
(――げ。)
何やら知らない男が声を掛けてきたので、家康は心の中で悪態を吐く――所謂、
ナンパという奴であるが…家康はこの手の男が非常に嫌いだった。
「暇じゃないです。」
キッパリと断ったものの…男はしつこく声を掛けてくる。最初は断り続けていた
家康だったが…余りのしつこさに苛々して持っていたバッグでぶん殴ってやろうと
した、その瞬間――。
「いだだあだあ―――?!!」
(――え?!)
行き成り呻き声を上げたナンパ男に吃驚してその後ろを見て見ると…仕事帰りだろうと
思われるスーツを着た男が、ナンパ男の手を捻り上げていたのだ。
「――消えろ。」
その一言と目の圧力に耐えかねたナンパ男は、脱兎の如く逃げ出した。
暫く呆然としていた家康だったが…助けてもらった御礼を言う為、助けれくれた
男の腕を掴んでふり返った男を見上げた。
「――ありがとう、助かったよ!!」
にっこり笑顔でお礼を言えば、助けた男は赤面して見事に固まった。
家康を助けた男―石田三成―は、仕事を終え自宅へ帰る途中だった。
(さて――明日は休みだ、久々にゆっくり休める…。)
そんな事を考えながら歩いていると、何やら目の前で諍いらしき物が起きていた。
話の内容を聞いていると――どうやら嫌がっている女を男が無理矢理誘おうと
している様だ。
最初は無視しようと通り過ぎる心算だったが…余りにもしつこいそれに女が本気で
辟易しているのは見て取れたし…このまま放って置くとマズイ気がした――
あの手の輩は下手をすれば最悪の事態になりかねない。
(――仕方がないか。)
そう思い溜息を吐きながら三成はそちらに足を向け、諍いの原因となっている男の
腕を掴み…力一杯捻り上げた。
「――消えろ。」
痛がっている男に冷たい声と目でそう言ってやれば、男は脱兎の如くその場から
立ち去った。
帰りに邪魔なそれも排除したし、自分も立ち去ろうとしたその瞬間、助けた女に腕を
掴まれてふり返ったら――。
「――ありがとう、助かったよ!!」
と――自分の好みにストライクな顔に笑顔でそう言われてしまい…その笑顔をまともに見た三成は赤面して固まった。
「あ、あの〜…?」
お礼を言った途端に固まってしまった三成に、家康は恐る恐る声を掛けるが…当の
三成は未だ固まったままだった。
(――ワシ…術使った覚えは無いんだがなぁ…。)
家康が内心でオロオロしていると――固まっていたはずの三成に急に腕を
引っ張られた。
「ぅわ!?」
「―――――。」
抱き込まれた形になった家康は驚いた声を上げるが…そんな家康に構う事無く、
三成は家康の耳元で小さく囁いた――『…この後、暇か?』と。
(え――?)
先程のナンパと似た様な文句に家康は、思わず三成を見上げてみると…先程以上に顔を赤く染めており、そして耳まで真っ赤になっていた。
(ぇ、何この人――かわいい。)
成人した男性とは思えないその反応に、自然と家康の顔が緩む。そして
抱き込まれた事で気付いたが――この男からは、質のいい香りがする…その上、
側に居るだけで多少補給出来る程にその精気は濃密だった。
(助けてもらったし…ちょっと位は、付き合っていいかな…?)
そう結論付けた家康が、先程自分にしたのと同様に…三成の耳元に口を寄せ、
了承の返事をすると…三成は家康の腕を掴んで、スタスタと歩き出し始める――
それに合わせ、家康も歩き出し…2人は夜の街へと消えた。
「わー!!ちょ、ちょっと待ってぇぇーーー!!」
「…何だ。」
あれから――ホテルに連れ込まれた家康は、部屋に入って間も無く三成に
押し倒されて、思わず制止を掛けるが…当の三成は不満そうに家康を見遣る――
但し、服を脱がす手は休めていない…変な所で器用な男である。
「せ、せめて…シャワー――ひゃ、ん!」
「ダメだ。」
『汗を流したい』と訴える家康に、三成は顕になった家康の首筋を緩く噛みながら
そう言う。
その上――『早く欲しい』と言われてしまっては、家康も堪ったもんじゃない。
(あうぅ…)
欲しいのは家康だって同じなのだ――だが…今までの男とは違う真逆とも言えるその
リアクションに家康は戸惑う。
「――嫌、なのか…?」
(――ズルイ…。)
家康の首筋に埋めていた顔を上げ…何処かしょんぼりとした表情でそんな
お伺いをする三成に、家康は内心そう思う――そんな事言ってもお互いに
もう止まれないのに。
軽く溜息を吐いた家康はそのまま、三成の首に腕を回す――それを了承と受け取った
三成は改めて、家康の首筋に噛みついた。
暫くの間――家康の肌に痕を付ける事を楽しんでいた三成だったが、今度は
その豊満な乳房に手を伸ばす。
「ひゃ…ふぅっ!!」
掴んで丹念に揉みしだくと――家康の口からは甘い声が零れるが、
恥ずかしいのか…家康は咄嗟に唇を噛む。
それに苛立った三成が、家康の胸の突起に歯を立てると――。
「ぃ…っ!!あぁああ!!」
「――!?」
ガクガクと身体を震わせ悲鳴を上げた家康に、三成は思わず驚く――が…
もしやと思い、家康の下着に手を突っ込む。すると…蜜口がぐっしょりと濡れていた。
「アレだけで――イッたのか…?」
「――い、いわないで…。」
呆然と三成がそう言えば、家康は眦に涙を浮かべながらそう言う――今までは
一方的に精気を摂るだけだったので…イかされるという経験が家康には
なかったので、今のこの状況は恥ずかしい事この上なかった。
そんな家康の反応に、煽られたのか…三成は、自分の指に溢れた愛液を絡めて…
一気に2本の指を家康の蜜口に沈めた。
「ひぃ!!あ、ま、ぁああ!!」
指を沈めた途端に上がる嬌声に、三成は背を興奮で震わせる――そして、
零れ落ちる家康の声に煽られる様に指を動かしていると――。
「な、ぁ…ん!も、ちょう、だい…!!」
「――分かった。」
刺激に耐え切れなくなった家康が『欲しい』と強請り…それを聞いた三成が指を
抜いて、据付のボードに置いてある避妊具に手を伸ばした所――。
「――どうした?」
手を掴んできた家康に、三成は声を掛ける――すると、家康の口から予想も
しなかった言葉が放たれた。
「――つ、つけなくて…いいから…っ!!」
その言葉に本格的に理性が切れた三成は、ヒクついている家康の蜜口に既に
先走りを流している自身を宛がい、一気に貫いた。
「あ、ひぃ――あああ!!」
「――っ!!」
漸く訪れた快楽に家康は中の三成自身を一気に締め上げ…その時の締め付けに
思わず果てそうになった三成だったが、何とか堪え…最初から激しく腰を動かした。
「は、ひぃ!あぁ、き、きもち、いい…っ!」
「は――わ、たしも…だ!」
正直に快楽を伝えてくる家康に、三成も正直にそう言う――本当に気持ちが
良かった、今までに抱いてきたどんな女よりも。そんな事を思いながら、三成は
一心不乱に腰を動かし続けた。
「あぁ…わ、し、も…――!!」
「――あぁ…!」
限界を訴えてくる家康に、同様に限界だった三成は短くそう返し――一際強く、
家康の最奥を突き上げたその瞬間――。
「あ、もぅ…!」
「く―――っ!!」
最奥を突き上げられた家康はそのまま果て…その時の締め付けで、三成も後を
追う様に家康の中に白濁を吐き出した。
果てた後――お互いに荒く息を吐きながら、余韻に浸っていたが…家康の中に居た
三成自身が再び反応しだした。
「あっ…!?」
それに気付いた家康が、三成を見て見ると――反応してしまったのが気まずいのか…
最初に会った時の様に顔を真っ赤にしていた。
「――もう一回、いいか…?」
おずおずと尋ねる三成に、家康がコクリと頷くと――三成は再び家康に挑んだ。
(あれ…?ワシ、食べる方なのに、食べられてる様な気が…――まぁ、いいか。)
三成に揺さぶられる中――家康は心の中でそう呟くのだった。
End…?
back
お題から思いっきり反れたぁぁーーーー!!何、このラブコメ!(自分で書いておい
て…orz)
うぅ…そしてまたもや、前フリに力を入れすぎた…お陰でほんryシーンが薄くなった…。
nicoさん、あまねさん、部長さん、38様――こんなダメ文ですが、受け取ってください…。
尚――↓の会話文はオマケですので、お持ち帰りはご自由に。
(※お持ち帰りの際はお題サイトへのリンクをお願いします。)
Title:『
Fortune Fate』/Template:『
Spica』
執筆中BGM:『HEY!真昼の蜃気楼』
オマケ(と言う名の会話文)
「ん…――あ、そうか…今の内に――うひゃ?!」
「――何処へ行く…。」
「お、おはよう…」
「おはよう――で、何処に行く?」
「え、服着て帰ろうかと…?」
「…さない」
「え?」
「――私から離れるのは、許さない!!」
「はいぃぃ―――――?!!!!」
「と言うわけで、貴様――私の恋人になれ。」
「何それ!?っつーか、横暴だろ!!」
「うるさい!!一目惚れなんだから、仕方ないだろ!!」
「一目惚れって…ちょ、ちょっと待て――ワシ、お前の名前も知らないのに!!」
「…言われて見ればそうだな。」
(今気付いたのかよ…。)
「私の名は石田三成だ。」
「石田さ――」「名前で呼べ。」
「分かった、三成――ワシは家康、徳川家康だ。」
「家康か、お互いに名乗った事だし――。」
「ちょい待ち、三成――ワシ人間じゃないんだが。」
「…何だと?」
「や、ホントに――『夢魔』って分かるか?」
「…『夢魔』――ひょっとして、インキュバスとやらか?」
「あ、惜しい――それは男性形の方。ワシ一応女だからサキュバスの方になる。」
「…貴様が人間だろうと化け物だろうが私はどーでもいい。本気で貴様が気に入った。」
「――さいですか…。」
End or Endless?!