「離しやがれーーーーーーーーーぇ!!!!」
鎖をガチャガチャと言わせながら、武者丸が叫ぶ。
「煩いザコ!ちょっとは、静かにするザコ!」
下っ端のザコとも言える、見張りのザクが耳を塞ぎながら、そう言う。
「こんな状況で、静かにしていられるかぁーーーーーーーーー!!!!」
そんなザクの態度に、武者丸は更に声を荒げながら叫んだ。
そりゃそうだろう…基地に潜り込んだのは、良いが…ちょっとした油断で、敵に――寄りにもよってザク――に、
捕まって、尚かつ…鎖に繋がれた上に、こんな所――ベッドのある…趣味を疑いたくなる様な部屋――に
閉じこめられたら、武者丸だけではなく、他の武者だって叫び通すだろう…。
第一…こんな状況で安心できる奴なんて、早々居ないだろう…。
「くっそ〜…。」
そう呟きながら、未だに鎖を引っ張る武者丸を見て――ザクは思い出したかの様に手を打った。
「そう言えば――『煩かったら、コレでも飲ませとけ』って、魔刃様言ってたザコ〜。」
そう言ってザクは、細工の施された小さな小瓶を取り出した。
中には――薄い赤を帯びた液体が入って、ゆらゆらと怪しげに揺らめいている。
「でも、コレなにザコ?」
ザクはそれを見ながら、首を傾げるが『黙るのなら、それでいいか』と、さほど深くは考えなかった。
そして――武者丸が繋がれている部屋に、足を向けた。
ザクが部屋に入ると――叫び疲れたらしい武者丸が、息を切らしながら俯いていた。
「あんだけ、叫べば疲れるザコ〜。」
ザクはケラケラと笑いながら、武者丸に近付いてきた。
「うる…せぇ…」
ザクをギッと強く睨みながら、そう吐き捨てる武者丸…だが――完全に息が切れて、疲れている。
「コレでも飲むザコ、いい気分になれるザコ。」
そう言って小瓶を、武者丸に見せるが…そう簡単に敵に引っかからないのが、武者だ。
「だ〜れが、飲むか!」
舌を出しながら、武者丸は子供の様にそう言った。
「いいから飲むザコ〜!!!」
だが、ザクは――武者丸が舌を出したのを見逃さずに、口に瓶を押し込んだ。
「うううぅーーーーーーーーーぅ?!!」
口に瓶を押し込められた事で、武者丸は呻き声を上げ――鎖に繋がれた身体をばたつかせ、
その拍子に、瓶の中に入っていた液体を全部飲んでしまった。
「やっと飲んだザコ〜。」
武者丸の口から、小瓶を取り出しながら…ザクは安心した声でそう言う。
「甘っ…まぁ…!!何だよ、コレ?!!」
液体を飲んでしまった武者丸は、舌を出しながらそう言う。
「知らないザコ。」
本当の事なのでキッパリと、ザクはそう言った。
「んなっ?!!」
そんなザクの言葉に、武者丸は目を見開きそう言った。
と…その時…。
『侵入者発見!侵入者発見!各自ポイントで撃退せよ!!』
基地中に、侵入者発見のアラート放送が、響き渡った。
「やれやれザコ…逃げるんじゃないザコ!」
そう言って、ザクは出撃していった。
「どう考えたって…逃げらんねぇよ…。」
カチャと音を立てながら、鎖に繋がれた腕を動かす。
武器もないこの状況、早々逃げられないだろう。
そう思って、ボーっと天井を見上げていたら…急に体中が熱くなった。
「あっ……?!!」
ヒクン――と、武者丸の身体が震えた。
「な…何だっ…?!」
僅かに走る感覚に、武者丸は身体を震わせた。
「はぁ…熱い…。」
荒く息を吐きながら、武者丸は呟く。
「一体…何…なんだよ。」
そう言って、鎖に繋がれた腕を動かした途端に――身体中に甘い疼きが走った。
「な…何でっ…?!」
ハッキリした感覚が伝わってきて、武者丸は戸惑った声を上げた。
その感覚は、自分が常日頃…『恋人』と、身体を合わせている時に味わう感覚だった。
『何で急に…?!!昨夜だって…そんなには!?』
そう思いながらも、武者丸は…只ひたすらに――疼きに身体を震わせた。
『何処だぁーー!武者丸!!』
熱い身体を持て余し、意識も朦朧としていたその時…待ち望んでいた人の声がした。
「あ…こ、この声…。」
聞こえたその声に、武者丸は荒く息を吐きながらも…安堵の溜息を吐いた。
そして5分が経過した頃…部屋を閉ざして扉が、破壊される音が響いた。
「武者丸、大丈夫か?!」
そう言いながら――扉を破壊した張本人が、武者丸の元へ駆け寄ってきた。
「遅ぇよ…斗機丸…。」
武者丸はギッと潤んだ目で、助けに来た『恋人』の斗機丸を見つめた。
「うっ……そう言うな!」
『遅かった』と言う自覚はあるらしく、斗機丸は僅かに言葉を詰まらせた。
「それより、敵は…?」
完全に薬が回っているのか…鎖に繋がれたまま幾分グッタリしながら、武者丸は斗機丸に尋ねた。
「ほぼ全滅と言う所だな…お前は大丈夫なのか?」
斗機丸はそう言いながら…怪我をしていないかと、武者丸に尋ねた。
「ちょい…大丈夫じゃねぇ…。」
身体の熱を逃す様に、武者丸は荒く息を吐きながら…そう答えた。
「まさか、殴られたりしたのか?!」
それを聞いて、斗機丸は慌てて武者丸に尋ねた。
「違う…そうじゃねぇ…。」
武者丸は首を振りながら、斗機丸にそう答えた。
「そうか…それじゃあ、何をされたんだ?」
武者丸の答えを聞いた斗機丸は、怪訝な顔で武者丸に尋ねた。
「何か…甘ったるい液体、飲まされた…。」
武者丸は舌を出しながら、味を思い出したのか…顔を顰めながら答えた。
「甘い液体?」
その答えを聞いて、斗機丸は首を傾げた。
「あぁ…それ飲んでから、急に身体が熱くなった…。」
斗機丸に聞き返されて、武者丸は簡単にそう答えた。
その答えを聞いて斗機丸は、部屋の中を見渡して――自分の足下に落ちていた、小瓶を見付けた。
「ひょっとして、この小瓶に入っていたのか?」
斗機丸は小瓶を、武者丸に見せながら尋ねた。
「ああ…そうだ。」
喋る事すら億劫になってきたのか、武者丸はボンヤリとそう返す。
「身体が熱い以外には、異常はないのか?」
至極真面目な顔で――斗機丸は、武者丸に尋ねた。
「そ、その…。」
聞かれた途端、武者丸は顔を真っ赤にさせてしまった。
「?どうかしたのか?」
歯切れの悪い答えに、斗機丸は首を傾げた。
「きゅ、急に…その…。」
武者丸は目を泳がせ、顔を更に赤くしながら、答えようとするのだが…恥ずかしくて、なかなか言えない…。
「笑わないから、言ってくれないか?」
そう言いながら斗機丸は、武者丸に更に近付いた。
「あ、あのな…したくなっちまったんだよ…。」
本当に。聞き取れるかどうかの小声で、武者丸は斗機丸に言った。
斗機丸はそれを聞いて――目を見開き、硬直してしまったが…その答えで、斗機丸は
武者丸が何を飲まされたのかが、やっと解った。
「まったく…敵も何てモノを、飲ましてくれたんだ…。」
硬直が解け、小瓶と武者丸を交互に見つめながら…斗機丸は溜息を吐いた。
「なぁ…?俺、一体何飲まされたんだ…?」
身体の熱が、限界ギリギリまで来ているのか…潤んだ目を斗機丸に向けながら尋ねる。
「あ、ああ…落ち着いて聞けよ。」
武者丸の潤んだ目を見て、思わず欲情してしまった斗機丸だったが…気を取り直して、武者丸に言った。
「うん…解った…早く言ってくれ…。」
飲まされたモノの正体が、解る事から…武者丸は必死に意識を保った。
「お前が、飲まされたのは…媚薬だな…間違いなく。」
至極真面目な顔だが…些か苦笑しながら、斗機丸はそう言った。
「はぁ…?!!媚薬だって?!!!」
武者丸はその言葉に、吹っ飛びそうだった意識が一気に覚醒した。
「だが…俺にとっては、好都合だったかもしれんな。」
そう言って斗機丸は、至極――武者丸にとっては、悪魔の笑顔で――楽しそうに笑った。
「ちょ…まさか…?」
武者丸は上目遣いで、斗機丸を見つめる。
「その『まさか』だ。ここ最近は、全然だったからな。」
お互いの顔が当たる位に、斗機丸は武者丸に近付き…武者丸の唇を指でなぞった。
「あっ…!」
唇をなぞられただけで、武者丸は甘い声を上げてしまった。
「…相当、我慢していたのか?」
唇をなぞっただけで、声を上げられたので…斗機丸は思わず聞いてしまった。
「っ〜…聞くな!」
その言葉に、武者丸は赤くなってそっぽを向いてしまった。
そんな新鮮な反応に、斗機丸はクスクスと忍び笑いをした。
「可愛らしいな、何時になく。」
そう言って斗機丸は――噛み付く様に、武者丸に口付けた。
「ん…んぅ…。」
噛み付く様な口付けに、武者丸はくぐもった声を上げた。
「ふぁ…。」
息苦しくなって、斗機丸の胸を叩いたら――スッと離れた。その口からは唾液が銀の糸を引いていた。
「…何時になく、敏感だな。」
斗機丸はそう呟いて、武者丸の耳朶を軽く噛んだ。
「ひゃん!だ、だってぇ…。」
イタズラに耳朶を歯で噛んで遊んでいる斗機丸に、媚声を上げながらそう言う。
「ま…その分、俺は楽しいがな。」
斗機丸はそう言って、武者丸の喉に歯を立てた。
「あぁっ…やあぁ…!」
歯を立てた感触に、武者丸は思わず仰け反った。
「イイのか…?」
喉に歯を立てたままそれが解っているのに、斗機丸は意地悪く尋ねる。
「……っ、イィ…。」
その問い掛けに武者丸は、そう言いながら必死に頷いた。
それを見て――斗機丸は、鎖に繋がれた武者丸の腕に手を伸ばした。
2人しか居ない部屋に『…カチャリ…』と、冷たく静かな金属音が響いた。
「……………」
「…斗…機丸……?」
鎖に触れた途端に静かになった斗機丸に、武者丸は首を傾げた。
「…心配掛けさせた、お返しだ。」
そう呟いて斗機丸は、武者丸の二の腕に強く噛み付いた。
「ちょ…あぁ…!!」
『お返し』と言われ…武者丸は待ったをかけたが、強く噛み付かれてしまい…甘い声を上げた。
そのまま斗機丸は、武者丸の胸に手を伸ばした。
「やだぁ…!」
手を伸ばした際に僅かに触れた指の感触に、武者丸は切羽詰まった声を上げた。
その声を聞いて斗機丸は、武者丸の下肢に目を向けた。
その目線の先には…快感に震える、武者丸自身があった。
「…限界なのか?」
そう言いながら、武者丸自身に手を伸ばし…少しだけ愛撫を施した。
「ひゃあ…!当たり前だろ?!」
いきなりの不意打ちに、武者丸は感じながらも…そう怒鳴った。
自分はもう限界なのだ…彼が来る迄、必死に我慢していたのだから…
第一、媚薬を飲んで相当敏感になった身体では、これ以上耐えられないと言うのが本音だ。
「…そうだな。」
斗機丸はそう呟くと、武者丸自身に激しい愛撫を施し始めた。
「あ、やぁあっ!」
余りの激しい愛撫に、武者丸は悲鳴を上げた。
そして、数分もしない内に…そこから全てを吐き出してしまった。
「ひぅ…あっ…。」
ツプッ…と、音を立てながら、斗機丸の指が入り込んできた。
「…少しだけ、力を抜いてくれ。」
慣らす為に、常にしている事なのだが…どうにも、武者丸はそれに慣れてはくれない。
慣らしながら、斗機丸は溜息を吐いた。
それでも…今日は媚薬の所為もあって、幾らかは楽であった。
「い、やぁ…ソコ、やだぁ!!」
慣らしている内にイイトコロを擦ったらしく、武者丸は引きつった声を上げた。
「…ココか?」
そう言って斗機丸は、武者丸のイイトコロを集中的に刺激した。
「ひっ…!」
余りにも強い快感に、武者丸は目を見開き涙を零した。
そんな反応を見て…斗機丸は焦らす様に、刺激するポイントをずらし始めた。
「やぁ…斗機…丸…。」
焦らされる感覚に、武者丸は身を捩らせながら斗機丸を呼んだ。
「どうした…?」
その呼び声に――斗機丸は愛撫の手を休めずに、残った腕で頬を撫でながら応じた。
「お願い…っ…だ、から…焦らさ…ない…で……!!」
それを聞いて斗機丸は、武者丸のナカから指を引き抜いた。
「あ…。」
「そう、せっつくな…。」
指を引き抜かれた感触に、武者丸が物足りなそうに声を上げた。
そんな武者丸に、斗機丸は苦笑を漏らした。
そして…ヒクついている、武者丸の秘部に己を突き入れた。
「――――――あぁぁ!!」
「くっ…!締め付けるな!!」
武者丸は突き入れられた衝撃に声を上げ…斗機丸は何時もより強い締め付けに顔を顰めた。
「はぁ、はぁ…動くぞ。」
「ひぁ…ん!」
息を整えながら斗機丸は、そう言って動き始め…武者丸はその動きに合わせて、只…ひたすらに声を上げた。
「あぁ…ん、も…イク…!!」
「俺も…だ…!」
武者丸の言葉に、斗機丸はそう言って…腰の動きを早めた。
「ひぁああああ―――――――――――っ!!」
「―――――っ…!!」
一際甘い声を上げながら、武者丸は絶頂に達し…その時の締め付けで、斗機丸も達した。
そして…この後も、暫く2人の吐息が、途切れる事はなかった。
「―――――ぅ……?」
射し込んできた光に、武者丸が目を覚ました。
「――――――っ?!」
起き上がろうとしたのだが、余りにも腰の痛みが酷く、再びベッドへダイブしてしまった…。
「…起きたのか?」
そう言って斗機丸が、起き上がった。…どうやら――武者丸がベッドへ、ダイブした衝撃で目を覚ましたらしい…。
「……おはよう…。」
恥ずかしくて顔を合わせる気にはなれず、武者丸は背を向けたまま…朝の挨拶をした。
「…おはよう、武者丸。」
そんな武者丸が、可愛くて、斗機丸は笑いを噛み殺しながら、そう挨拶を返した。
「なぁ…?俺、昨夜、変じゃなかったか…?」
武者丸は身体を、斗機丸の方へと向け…そう尋ねた。
「?いいや…変じゃなかったが…?」
尋ねられた内容に、斗機丸は首を傾げながらそう返した。
「…いや、そんな変じゃなくてな…。」
武者丸は顔を赤くしながら、斗機丸の答えをそう否定した。
「あぁ…そう言う事か――――――可愛かったぞ。」
斗機丸はそれを聞いて、昨夜のコトの時を指しているのが解り――耳元に口を寄せそう言った。
「〜〜っ!」
それを聞いて武者丸は、顔を更に赤くして…シーツにくるまってしまった。
そんな武者丸を見て、斗機丸は苦笑したが…シーツごと武者丸を抱き締めた。
抱き締められた武者丸は抵抗する事を諦めて、斗機丸の方へと身体を向けた。
それから…2人は顔を見合わせて見つめ合った後、穏やかに笑いあった。
そして…2人が、この基地から去ったのは…夕方を過ぎてからの事だった。
俺が欲しいのは、現実的に過ごす貴方との時間。
その時だけは…戸惑いも恥じらいも全て脱ぎ捨てて、貴方だけのモノ。
だから…連れてって?貴方との甘い時間に。貴方じゃなければ、感じる事もイヤだ。
End.