お前の肌に噛み付く度に、俺は…。

359:恋の奴隷

 

「ん…ちょ、待ってや…!」
武者丸は身を捩らせて、斗機丸の愛撫から、逃れようとする。
「ダメだ…待てない…。」
武者丸の制止に、斗機丸は焦れた様にそう呟きながら、更に武者丸への愛撫を続ける。
「ひゃ、や…トッキー!」
武者丸は、まるで制止を促す様に、斗機丸の腕に爪を立てた。
「武者丸…?」
その行動で愛撫を止めた斗機丸は、訝しげに武者丸の顔を覗き込んだ。
「……っ…。」
覗き込んだ武者丸の顔には、僅かに恐怖の色が浮かんでいた。
「―――武者丸…。」
それを見て斗機丸は、一瞬戸惑ったが…直ぐに宥める様に、武者丸の頭を撫で始めた。

「なぁ…トッキー…。」
暫くして、落ち着いたのか…武者丸は、斗機丸に話し掛けた。
「何だ?武者丸。」
斗機丸は武者丸の頭を撫でる手を止め、武者丸の顔を覗き込んだ。
「その…して、かまへんで…?」
武者丸はギュッと目を瞑りながら、斗機丸にそう言った。
その言葉に斗機丸は、一瞬面食らったが…その言葉に応じる様に、斗機丸は武者丸に覆い被さった。

「っ…痛…。」
秘部に指が入り込んでくる感触に、武者丸は身体を強張らせた。
「少し…力を抜いてくれないか?」
身体の強張りを解く様に、斗機丸は、武者丸の顔に口付けを何度も落とした。
「…っ…。」
その口付けにすら感じてしまい…武者丸は、身体を戦慄かせた。
「………。」
そんな武者丸を見ながら、斗機丸は、ゆっくりと指を動かし始めた。

「は…ぁ…。」
時間を掛けた愛撫のお陰で、武者丸の口からは、切なげな甘い吐息が漏れ始めた。
「イイのか…?武者丸…。」
増やした指を焦らす様に動かしながら、斗機丸は熱に浮かされた声で、そう問い掛けた。
「ふ…ぁ…。」
武者丸は甘い吐息を吐きながら、虚ろな目で、斗機丸に縋り付いた。
それを見て斗機丸は、武者丸の秘部から、焦れた様に指を引き抜いた。

「もう、良いか…?」

熱に浮かされ、そして何処か掠れた声で…斗機丸は、武者丸に囁きかけた。
その囁きに武者丸は、朦朧とする意識の中、微かに頷いた。
そして…斗機丸は、ゆっくりと己を突き入れた。
「――――――――っ!!」
指とは比べ物にならない質量に、武者丸は、声にならない悲鳴を上げた。
「っ…力を抜いてくれ!」
余りのきつさに斗機丸は、思わず声を荒げた。
「っ…ぁ…。」
武者丸は血の気が失われた顔で、唇を戦慄かせながら頭を振った。
そんな武者丸を見て、斗機丸は、急きすぎた自分に舌打ちをした。
「――――武者丸、武者丸…。」
斗機丸は、子供の様に何度も武者丸の名を呼びながら、労る様に何度も口付けを落とした。
「は、ふ…ぅ…。」
口付けで幾分か力が抜けたのか…武者丸はボンヤリと、斗機丸を見つめた。
「動いてもいいか…?」
武者丸が落ち着いたのを見計らって、斗機丸は、そう問い掛けた。
「ぅ…。」
微かに唇を戦慄かせながら、武者丸は、コクリ…と頷いた。
それを見て斗機丸は、ゆっくりと動き始めた。

 
「っ、ひぅ…!」
斗機丸が動く度に、武者丸の口からは、喉が引きつった様な悲鳴が上がった。
「痛むのか…?」
引きつった様な悲鳴を上げる武者丸に…斗機丸は、労る様な声色で囁きかけた。
「ん…ゃ…。」
その囁きに武者丸は、弱々しく頭を振った。
斗機丸はそれを見て、自らをギリギリまで引き抜き…再び叩き付ける様に、腰を動かした。
「いっ…!あ、ふぁ!」
急に激しくなった動きに武者丸は、目を見開きながら…嬌声を上げた。
「悪い…優しく出来そうにない…!」
武者丸にそう囁きながら、斗機丸は腰の動きを早めた。
「や、も、いややぁ…。」
ボロボロと涙を零しながら武者丸は、斗機丸に縋った。
「………っ!!」
それを見て斗機丸は――武者丸の涙にさえ欲情してしまう、自分に呆れてしまった。
「ふぁあ…!も…っ!」
武者丸は、斗機丸に縋り付いたまま、そう訴えた。
「あぁ…俺もだ…!」
それを聞いて斗機丸は、一際強く腰を打ち付けた。
 
「あ、やぁ―――――――!!」
「…く…っ!」

その衝撃で武者丸は、嬌声を上げながら達し…斗機丸も、その時の締め付けで、劣情を吐き出した。
 
「…大丈夫か…?」
後始末を終えて斗機丸は、己の腕の中で無言を押し通している、武者丸に声を掛けた。
「…大丈夫ちゃうわ…。」
その問い掛けに武者丸は、不機嫌な声でそう返した。
「はは…そうか…。」
予想していた答えに斗機丸は、苦笑を漏らした。
「…怖かったんやからな…。」
武者丸は小声でそう言って、斗機丸にしがみ付いた。
「!…済まなかった…。」
それを聞いて斗機丸は、謝罪の言葉を口にし、武者丸の頭を撫でた。
「もう…ええわ…。」
その言葉を聞いて武者丸は、笑みを浮かべながらそう言って、眠りに就いた。
「…許して貰えたのか…?」
そう呟いて斗機丸も、眠りに就く為に、目を閉じた。

お前の肌に噛み付く度に、俺は理性を飛ばしてしまう…。
その流す涙が欲望の色に変わる程に、俺はお前を壊したいと思う位だよ。

End.