躯を辿る指、それはまるで…熱を辿る様な、甘い動き。

102:性感帯

 

「ひぅ…!!」
さっきから自分の感じる所――顎から首筋――を斗機丸は、背後から意地悪く舌で舐めてくる。
「気持ちイイだろ?」
それを知ってか知らずか、斗機丸は、クスクスと笑いながら、そう言って行為を続ける。
「やぁ…トッ…キー…。」
武者丸は弱々しく頭を振りながら、掠れ掠れの声を上げる。
斗機丸は左腕で武者丸の腰を抱いて、
残った右腕で胸を愛撫し始めた。
「ん…!!」
胸の突起を弄られて、武者丸は息を詰まらせた。
「もっと、声を出して、欲しいんだが…?」
意地悪く笑い――尤も武者丸からは見えないが――斗機丸は、項に舌を這わせた。
「ひゃん!!やぁ…やっ…てぇ…」
舐められる感触に武者丸は身を震わせながら、途切れ途切れに甘い声を上げた。
「…どうかしたか?」
首筋から背中に掛けて赤い痕を残しながら、斗機丸は武者丸に問い掛けた。

「声…恥ず…かしいんや…!」

甘い吐息混じりに、武者丸は、頬を真っ赤に染めながら、そう答えた。
…ふふっ…」
その答えを聞いて斗機丸は、肩を震わせながら忍び笑いを漏らした。
ちょ…っ、トッキー?!」
忍び笑いをする斗機丸に、武者丸は、頬を赤く染めたまま、声を上げた。
「いやな…『可愛いな…』と、思ってな…。」
そう言って斗機丸は、武者丸の耳朶を、軽く噛んだ。
「ひっ…!!か、可愛…いって…言うんやないぃ…!!」
快感に身を捩らせながらも、武者丸は、せめてもの反抗に、そう言い返す。
「ほぉ〜…?そう言う事を、言うのか?」
その言葉に気を殺がれたのか、斗機丸は、武者丸の肩甲骨の辺りに、思いっ切り歯を立てた。
「ひゃああぁ!!やぁ、ソコは、ヤやぁ…!!」
歯を立てられた感触に、武者丸は悲鳴を上げた。
「あぁ、ココか。」余りの過剰反応に、斗機丸は、『その場所』が、武者丸が感じる所だと、解ると否や…
今度は歯を立てた場所を、執拗に舐めだした。
「あ、やぁ…もぅ、許してぇ…トッ…キーぃ…!」
余りにも強い快感に、イヤイヤする様に武者丸は、そう言いながら頭を振る。
「許して欲しいか?」肩甲骨から腰骨まで舌を這わせたまま、斗機丸は意地悪く問い掛ける。
「…………っ……。」
声を出すのも辛いのか…武者丸は無言のまま、切羽詰まった様にコクコクと頷く。
それを見て斗機丸は『これ以上、苛めるのは酷だな。』と思い、武者丸の身体を自分の方へと向け、
胸の突起を口に含んで愛撫しだした。
「あぁ…ん…。」
武者丸は感触に震えながらも、秘めやかに甘い声を上げた。

「は……っ」
指がナカに入り込んでくる感覚に、武者丸は息を吐いた。
「…未だ、慣れないな…。」
斗機丸は苦笑しながら、慎重に秘部を解していく。
「…慣れ…へんわっ…!!」
ナカを探られる感覚に、身体を戦慄かせながら、武者丸は、そう言う。
「ははっ…まぁ、そうだな。」
斗機丸は楽しそうに笑いながら、ナカに入り込んでいる指を増やした。
「………っ!!」
増えた指に圧迫感を覚え、武者丸は声にならない声を上げた。
そして暫くすると、指がまた増えて…最終的には3本になった。
 イイトコロを引っ掻く様に愛撫してやると、面白い様に武者丸の身体が跳ね上がった。
 「あぁ……、ひっ…!」
 指をバラバラに動かされ、その度にイイトコロに当たるのか…武者丸は引きつった声を上げる。
 「………………。」
斗機丸は無言のままで、指での愛撫を続ける…指を動かす毎に、淫らな水音が静かな部屋に響き渡った。
「ねぇ…っ…トッキーぃ…!!」
強請る声で、武者丸は、斗機丸を呼んだ。
「ん…何だ?」
斗機丸は顔を上げ、愛撫を施していない方の指で、武者丸の唇をなぞりながら、問い掛けた。

 「もっ……!トッキー…の…頂戴ぃ…!」

武者丸は一番甘い声を上げながら、そう強請った。
それを聞いて、斗機丸は満足げな笑みを浮かべて、秘部から指を引き抜き…
己を取り出して、武者丸の秘部に当てた。
「…入れるぞ?」
己を当てたままで、斗機丸は耳元で囁いて…その誘惑の言葉に、武者丸はコクリ…と頷いた。
武者丸が頷いたのを見て、斗機丸は、一気に己を突き入れた。
 「あぁぁぁ―――――――!!!」
「…っ!!」
斗機丸の熱さに武者丸は悲鳴を上げ…斗機丸も、武者丸のナカの熱さに顔を顰め、声にならない声を上げた。
「はっ…ぅ…。」
武者丸は熱さに、引きつった様に荒い息を吐く。
「…もう、動くぞ?」
熱に浮かされた声で、斗機丸は耳元で囁き…それを聞き、武者丸は潤んだ目で斗機丸を見つめた。
それを肯定と受け取り、斗機丸はゆっくりと腰を動かし始めた。
「あ、ひぅ…!」
武者丸はシーツを思いっ切り握り締め、甘い声を上げた。
 「もっと…聞かせてくれないか…?」
シーツを握り締めている手に自分の手を重ねながら、斗機丸は囁いた。
 「あぁ…!ひゃぅ…!!」
それに答えるかの様に武者丸は、斗機丸が動く毎に、引っ切り無しに甘い声を上げ始めた。
打てば響く様に聞こえる甘い声に、斗機丸は、自分が追い詰められていくのを感じ始めた。
「あ、ひぃ…!トッ…キーぃ…!!」
限界が近いのか、武者丸は口元から唾液を滴らせながら、斗機丸を呼ぶ。
「あぁ…俺も…だ!」
斗機丸はそう言って、武者丸のイイトコロを一気に突き上げた。
「あ、ひゃあぁん!も、ダメぇ――――――――っ!!」
「くっ!!」
突き上げられた衝撃と快感で、武者丸は達し…斗機丸も劣情を吐き出した。

「…はぁ。」
後始末をした後…今は疲れて眠っている武者丸を見つめながら、斗機丸は溜息を吐いた。
今日は完全に理性の箍が外れてしまい、散々焦らしてしまった…と自己嫌悪に陥っていた。
眠っている武者丸の頬を撫でながら、斗機丸は起こさない様に小声で呟いた。
「すまなかった…武者丸…。」
そして…斗機丸は、武者丸に労りのキスを施して自らも眠りに落ちた。
「――――ん?」
暫くして…武者丸はボンヤリと目を覚まし、眠っている斗機丸を見つめた。
「アホ…好き勝手しよってからに…。」
拗ねた顔で武者丸はそう言いながらも、斗機丸の頬に軽いキスを落とした。
「あ…雪や…。」
ふと、外を見ると…雪が深々と降っていた。この調子なら、朝には積もっているだろう。
眠気が限界に達して、武者丸も再び眠りについた。
そんな2人の様子を、降り積もる雪だけが…静かに見守っていた。

辿る指は、何かを求めている様に…熱を呼び覚ます。
雪は…只静かに降り積もるだけで、時も2人を止めはしない…。
でも…思いだけは、雪の様に儚く消えないから…。

End.